韓国で、約1000万ウォン(約106万6000円)相当の高級バイオリン弓が子どもの不注意で破損した際、加害者の保護者が「触れる場所に置いた方が悪い」と責任転嫁したことで、世論の激しい非難を浴びています。この一件は、韓国のオンラインコミュニティへの投稿をきっかけに広がり、責任の所在と賠償に関する議論を巻き起こしています。
高級バイオリンの弓と、その破損を巡る韓国でのトラブル
1000万ウォンのバイオリン弓、予期せぬ破損
問題の発端は、加害者の子どもの親によるオンラインコミュニティへの投稿でした。その親の息子が、被害者の女子学生が所有する高級バイオリン弓に対し、「触るなと言われていたにもかかわらず、少し触っているうちに折ってしまった」と報告。被害者の女子学生は、その場で激しく動揺し、泣き出してしまったといいます。被害者側の保護者は、この弓を現状で買い直すには約2000万ウォン(約213万2000円)が必要であると説明し、「たとえ新品でも手になじんだものとは違う」と心情を吐露しました。また、弓を使用してもよいとは一言も言っておらず、触らないよう警告もしていたと主張し、「責任を取って同等価格の弓を一緒に買いに行こう」と要求しました。
責任転嫁する親と硬化する被害者側の態度
これに対し、加害者の親は予想外の反論を展開しました。「そんなに大切なものなら子どもの目に見えないように管理すべきだった」と主張し、「触れる場所に置いていた被害者にも責任がある」と述べたのです。この発言は被害者側の態度を硬化させ、当初の同等品での買い替え要求から、金銭での賠償として約2500万ウォン(約266万5000円)を要求する方針に転換しました。
「感情的な賠償」と「減価償却」論:対立深まる双方の主張
加害者の親はさらに、「感情的な賠償額だ」と被害者側の要求を批判。弓は修理可能であり、「工房で直せばヒビも見えなくなると聞いた」と主張しました。賠償額についても、「金額は購入時の1000万ウォンから減価償却して考えるべきだ」との持論を展開。さらに、精神的苦痛や慰謝料まで求める相手方に対し、「再購入は、むしろ弓が替えられるものである証拠」だと反論しました。
ネットユーザーからの厳しい批判
この一連の投稿に対し、韓国のネットユーザーからは加害者の親の姿勢に対する厳しい批判の声が殺到しました。「芸術系の学生にとって弓は体の一部と同じだ」「陶磁器を壊しておいて『代金払えばいいだろ』というのと同じだ」といった意見や、「感情的なケアも含めて対応すべき問題だ」といった声が多数寄せられました。加害者の親が逆ギレともとれる態度を示したことが、かえってネット上の炎上をさらに加速させる形となりました。
このトラブルは、子どもの不注意による損害賠償における親の責任、高額な芸術品の価値判断、そして社会における倫理観と誠意のあり方について、改めて問いを投げかけています。
参考資料
- KOREA WAVE/AFPBB News (via Yahoo! News)