米カリフォルニア州のディズニーランドにある人気アトラクション「イッツ・ア・スモールワールド」で、政治的メッセージを掲げた人形が無断で設置された事件が世界的な注目を集めています。この行為はSNSで瞬く間に拡散され、大きな波紋を呼びました。広島への原爆投下から80年となる2025年を前に、今回の抗議活動の背後にある意図とは一体何でしょうか。
ディズニーランドでの異例の抗議活動とSNSでの拡散
この騒動の発端は、8月4日頃にSNS上に投稿された動画でした。動画には、米ディズニーランドの「イッツ・ア・スモールワールド」のアトラクション内に、黒く煤けたような日本人形が設置されている様子が映し出されていました。この人形は「ヒロシマを忘れるな(REMEMBER HIROSHIMA)」と書かれたプラカードを持っており、第二次世界大戦下の広島を想起させるデザインです。
米ディズニーランドの「イッツ・ア・スモールワールド」のアトラクション内部の様子。多文化の子どもたちの人形が並ぶ中で、今回の抗議が行われた。
世界各国の民族衣装をまとった子どもたちの人形が歌いながらボートで進む「イッツ・ア・スモールワールド」という平和的な空間での、この異例の「無断設置」に対し、海外ユーザーからは「ディズニーランドでやるべきことなのか」「どのようにセキュリティを通過したのか」といった疑問や議論が巻き起こりました。東京ディズニーランドにも同じアトラクションが存在するため、日本国内でも関心を集めています。
「ベン&ジェリーズ」共同創業者が仕掛け人と告白
騒動が広がる中、米有名アイスクリームブランド「ベン&ジェリーズ」の共同創業者であるベン・コーヘン氏が8月7日、米FOXニュースデジタルの電話インタビューに対し、自身がこの人形設置の企画を仕掛けた人物であると明らかにしました。
コーヘン氏は、2025年の広島原爆投下80周年を前に、退役軍人や国家安全保障の専門家と共に「Up in Arms」というプロジェクトを立ち上げています。これは、米国防総省の莫大な予算や核兵器の保有について批判する政治キャンペーンであり、今回のディズニーランドでの行為もその一環だというのです。
核兵器廃絶と歴史的教訓の訴え
コーヘン氏は今回の企画について、「世界中の子どもたちが集まり、互いに愛し合う『イッツ・ア・スモールワールド』の中に『ヒロシマを忘れるな』という人形を置いた」と語りました。彼は、広島への原爆投下後、私たちはその出来事を記憶し「二度と繰り返さない」と誓うべきだったが、歴史を無視してきたと主張しています。
さらにコーヘン氏は、現在も続く中東ガザでの戦闘に触れ、そこで多くの犠牲者となっている子どもたちが、ディズニーランドに置かれた人形と同じ「小さな女の子たち」であると訴えました。軍事予算の拡大や核兵器プログラムの長期化は、トランプ政権以前から続いてきた問題であり、これは超党派で取り組むべき共通の課題であると指摘しました。
ディズニーランド広報担当者はFOXニュースデジタルに対し、抗議のために置かれた人形はキャストが発見次第すみやかに撤去し、持ち込んだ女性には規定を説明したと述べています。
まとめ
今回のディズニーランドでの人形設置事件は、単なる迷惑行為にとどまらず、核兵器問題や軍事予算、そして歴史の教訓といった重いテーマを再認識させるきっかけとなりました。特に、2025年に広島原爆投下から80年を迎えるにあたり、ベン・コーヘン氏のような著名人がこのような形で訴えかけることは、国際社会における平和と核廃絶への意識を改めて高めることにも繋がるでしょう。