日本生命保険から三菱UFJ銀行に出向していた社員が、同行の内部情報を無断で持ち出していた問題が発覚。この件に関して、日生が社内調査を開始した直後の7月、営業部門が取得した情報の保存先フォルダーを削除していたことが判明しました。三菱UFJ銀行から不正に取得された複数の情報が含まれていたとされ、これは証拠隠滅を図ったものとみられています。
三菱UFJ銀行の内部情報不正持ち出しの経緯
この問題では、2024年春、日本生命保険の社員が、出向先の三菱UFJ銀行が代理店として扱う保険商品の販売戦略など、重要な内部資料を無断で持ち出していました。これらの資料は、日本生命保険内でメガバンクへの営業を担当する金融法人部に送付されたとされています。金融法人部では、三菱UFJ銀行側への「逆流厳禁」という印を資料に押し、秘密裏に共有して営業活動に利用していた実態が明らかになっています。
「逆流厳禁」の印と営業利用の実態
三菱UFJ銀行の内部資料には、「逆流厳禁」という注意書きが付され、日本生命保険社内で共有されていました。これは、持ち出された情報が三菱UFJ銀行側へ漏れることを厳しく禁じる意図があったことを示唆しており、不正利用の隠蔽を図っていた可能性が高いです。関係者によると、出向者は他にも同行の様々な情報を長期間にわたって取得しており、無断で持ち出された資料は複数に上るとのこと。金融法人部では、これらの内部情報を特定の電子フォルダーに集約し、部門内のサーバーで管理していました。
日本生命保険社内で共有されていた、三菱UFJ銀行の「逆流厳禁」と記された内部資料。無断持ち出し問題で証拠隠滅が疑われている。
情報削除による証拠隠滅の疑い
朝日新聞が7月10日にこの問題に関する事実確認を日本生命保険に求めたところ、日生は関係者の聞き取りなどを経て14日までに事実関係を確認し、朝日新聞は15日に報道しました。しかし、朝日新聞の取材を受けた翌日の7月11日、金融法人部の関係者が、不正に取得した情報がまとめられていたフォルダーを丸ごと削除していたことが判明。取材や社内調査の動きを察知し、取得情報の隠蔽を図ったものとみられています。
複数の不正取得資料と長期的な問題
今回のケース以外にも、三菱UFJ銀行に出向していた社員は、同行の様々な内部情報を長期にわたり不正に取得し、持ち出していたことが指摘されています。これらの問題は、企業間の信頼関係だけでなく、情報管理体制や企業倫理のあり方にも大きな疑問を投げかけています。今後のさらなる調査によって、全容解明と責任の所在が明らかにされることが期待されます。
参照元
- 日本生命、MUFG銀情報持ち出しで証拠隠滅か 営業部門が削除 (Yahoo!ニュース/朝日新聞社より)