ロシア派兵の北朝鮮軍内で同性愛が蔓延か？露捕虜が証言、脱北者の視点から分析

ウクライナへの派兵が報じられる北朝鮮軍の内部で、同性愛行為が広がっているとの驚くべき証言が、ロシア人捕虜によってもたらされました。この証言は、北朝鮮の兵士たちが通常では考えられない行動をとっていると示唆しており、国際社会の注目を集めています。軍事という厳格な規律を重んじる組織において、このような情報が流れる背景には何があるのでしょうか。本記事では、ロシア人捕虜の証言に加え、過去の脱北者の証言も交えながら、北朝鮮軍内の実態とその特異な文化について深く掘り下げていきます。

北朝鮮軍の兵士を描いたイラスト。ロシアへ派兵された兵士たちの状況を示唆するイメージ。

ロシア人捕虜が明かした北朝鮮軍の「異常」な行動

ウクライナの報道関係者で軍人のユーリー・プツソフ氏が公開した尋問動画の中で、身元不明のロシア人捕虜は、ロシアに派兵された北朝鮮軍兵士たちの奇妙な行動について語りました。この捕虜によると、北朝鮮軍兵士たちは同性間の関係を隠すことなく露骨に行っていたといいます。捕虜は「食堂で列に並んでいた時、二人の北朝鮮兵が手をつないで歩いてきた」と証言し、さらに「別れる前に口付けを交わしていた」と述べました。彼は「本当に唇でキスをしていた」と強調し、「最初は男と女だと思ったほどだ」と付け加えました。

また、この捕虜は北朝鮮軍兵士がロシア軍の物資を盗み、さらには暴行にまで及んだと主張しました。具体的な事例として、「ある時、北朝鮮の兵士たちが突然塹壕（ざんごう）にやって来て、一人の兵士を殴り、ノートパソコンを奪って逃げ去った」と語っています。しかし、北朝鮮兵は皆同じに見えるため、誰が犯人か特定するのは困難だったとも付け加えています。これは、軍事協力の裏側で生じているとみられる、深刻な問題の一端を示しています。

脱北者が語る北朝鮮軍内の「同性愛」の実態：性的抑圧の側面

北朝鮮軍内部での同性愛行為は、今回のロシア人捕虜の証言以前にも、北朝鮮軍出身の脱北者たちによって語られてきました。ただし、北朝鮮社会には「同性愛」という概念自体が存在しないため、兵士たちはその行為を明確に認識したり、他と区別したりすることなく行っているケースが多いとされています。一部の脱北者は、これを長期にわたる軍事服務による性的抑圧の一種だと説明しています。

平壌で軍務に就いていたある脱北者は、昨年10月に公開されたBBCコリアのインタビューで、軍内の状況を詳細に語りました。「軍隊に若い友人が入隊してくると、可愛いと感じるだろう。そうすると抱きしめたり、肩を組んだり、体を揉んだりする」と述べ、これは女性がいない環境で「きれいに見える男子」に対して、女性という枠を当てはめて欲求を解消する行動だと指摘しました。彼は、こうした行動がその兵士の性的指向が歪んでいるためではなく、女性と接触できない環境で10年間も我慢することによって生じるものであり、「その男性を好きというわけではない」と強調しています。

北朝鮮の文化的背景と「同性愛」への認識

この脱北者は、「北朝鮮を理解する上で、韓国式の思考方式では決して理解できないだろう」と語り、「北朝鮮は北朝鮮だけの視点で見なければ、すぐに理解できる。同性愛という感覚は全くない。常識にもない」と説明しました。さらに、「そのような人々が存在する可能性はあり得るとしても、自らそれを認識している北朝鮮人は本当にほとんどいないだろう」と付け加えました。これは、西欧や韓国における同性愛の概念と、北朝鮮における同性間の行為の捉え方が根本的に異なることを示唆しています。

実際、2015年には北朝鮮の男性兵士二人が白昼に抱擁し、口付けしているような場面が韓国側の防犯カメラに捉えられたこともあります。これに関して、世界北朝鮮研究センターのアン・チャンイル所長は、「服装から見て軍官（将校）と推定される」と分析し、「10年以上も軍務に就き、外部に出られず、女性との接触がないため、軍隊内で同性愛類似の性行為を行って解放区を探しているのだろう」と見解を述べています。

北朝鮮軍内の同性愛行為に関するロシア人捕虜の証言は、その信憑性が精査されるべきではありますが、過去の脱北者の証言や専門家の分析と一致する部分があることは無視できません。これらの情報は、外部からはうかがい知ることのできない北朝鮮軍の内部事情、特に長期にわたる隔離された環境下での兵士たちの精神的・肉体的な苦境、そしてそれに伴う性的抑圧という側面を浮き彫りにしています。北朝鮮という特殊な社会を理解するためには、一般的な常識や価値観だけではなく、その独自の文化的・社会的な背景を考慮に入れる必要があることを示唆しています。