異色の経歴を持つ女芸人まつなみ:なぜ彼女は「体を張る」お笑いの道を選んだのか?

自衛官、看護師、そしてモデルとして異色のキャリアを歩んできたまつなみさんが、31歳で選んだ新たな道は「お笑い芸人」でした。前編ではその多岐にわたる経歴に迫りましたが、後編となる本記事では、なぜ彼女がこの意外な転身を遂げ、どのような「お笑い」を目指しているのか、その深層に迫ります。

芸人への転身:ランウェイでの「転倒」が転機に

外資系メーカー勤務とモデル活動を両立していたまつなみさんに転機が訪れたのは、ランウェイでの思わぬ「転倒」でした。その派手な転び方に周囲は凍り付いたものの、彼女はその瞬間に「これこそが私が求めていたものだ!」という強烈な快感を覚えたと言います。華やかな衣装を身につけてただ見られることよりも、人々を驚かせ、そして笑顔にしたいという彼女の真の欲求が、この出来事をきっかけに明確になったのです。この確信に基づき、彼女はすぐさまお笑い芸人養成所である「ワタナベコメディスクール」への願書を提出しました。

自衛官、看護師、モデルを経て31歳でお笑い芸人へと転身した異色の経歴を持つまつなみさん自衛官、看護師、モデルを経て31歳でお笑い芸人へと転身した異色の経歴を持つまつなみさん

ワタナベコメディスクールでの厳しさと成長

お笑いの養成所での日々は、まつなみさんにとって想像以上に厳しいものでした。それまでのキャリアでは「実績のある人」として扱われ、叱られる機会がほとんどなかった彼女は、養成所で「お前の何がおもろいねん」「喋り方が気に食わん」「仕事で授業を休むような奴に教えることはない」といった厳しい罵倒を先生方から浴びせられ、31歳にして自身のプライドが打ち砕かれる経験をしました。しかし、彼女はこの経験こそが、もしなければ今でも「プライドばかり高くて、鼻につく嫌な女」のままだと感じており、自己成長の糧となったと振り返ります。

両親の心配と「お尻を出したい」という彼女の真意

お笑い芸人として活動を始めてからの両親の反応について聞くと、まつなみさんは「私のネタを見て、『一線は越えないでね』と心配しています」と明かします。しかし、彼女自身が本当に目指しているのは、森三中の大島美幸さんのように「お尻を出したり、ブリーフ一丁で走り回ったり、ローション相撲をしたりする」ような、体を張ったお笑いです。「次は何をやってくれるんだろう」と期待される芸人になりたいという強い願望が、彼女の中にはあります。

「心から望む」お笑いと世間のギャップ

まつなみさんが体を張ったネタを披露する際、予期せぬ反応に直面することもあると言います。「無理してそんなことやらなくていいよ」という言葉をかけられることがあり、彼女は「心から望んでやっていることでも、誰もが笑ってくれるわけではないのだな」と痛感しています。また、自衛官や看護師としての経験から「あるあるネタをやったら?」とアドバイスされることもありますが、彼女にとっては仕事として真剣に取り組んできたことであるため、お笑いの目線で捉えることが難しいと感じています。世間の期待に合わせるべきか、それとも自身のやりたいお笑いを追求すべきか、という葛藤が彼女の中には常に存在しています。

まとめ

自衛官、看護師、モデルという異色のキャリアを経て、31歳で「お笑い芸人」という天職を見出したまつなみさん。ランウェイでの転倒をきっかけに、人々を驚かせ、笑わせることに喜びを見出した彼女は、厳しい養成所での経験を通して人間的な成長を遂げました。親の心配をよそに、森三中・大島のような「体を張る」芸人を目指す彼女ですが、心から望むお笑いと世間の反応との間にギャップを感じることもあります。自身の信念と向き合いながら、常に進化し続けるまつなみさんの今後の活躍から目が離せません。


参考文献: