ガンビアFGM禁止法、幼い命の犠牲で試される合憲性:最高裁審理へ

西アフリカのガンビアで、女性器切除(FGM)を受けたとされる生後1ヶ月の女児が死亡した事件が波紋を広げています。FGMは同国で法律により禁止されているにもかかわらず広く行われており、この禁止法の合憲性が現在、最高裁判所で審理される予定となっており、その行方が注目されています。この悲劇は、長年根付く文化的・宗教的慣習と人権保護の間の深刻な対立を浮き彫りにしています。

ガンビアにおけるFGMの深刻な実態と悲劇

ガンビアは世界でもFGM実施率が特に高い国の一つです。国連児童基金(ユニセフ)が2024年に発表した統計によれば、15歳から49歳までの女性と少女の実に73%がFGMを受けているとされます。今回報告された生後1ヶ月の女児の死亡は、この慣習がもたらす悲惨な結果を改めて突きつけました。警察によると、この女児は「FGMを受けたとされる」後に重度の出血を起こし、首都バンジュールの病院に搬送されましたが、来院時にはすでに心肺停止状態であり、その後死亡が確認されました。この痛ましい事件を受け、関与したとされる女性2人が西部ウェリンガラで拘束され、現在捜査が進められています。

この女児の死は、女性と少女に有害な人権侵害であるFGMと闘う女性の権利擁護活動家たちの間で激しい怒りを引き起こしています。国際人権団体「イクオリティ・ナウ」の弁護士を務めるサンタナ・シミユ氏は、「FGMは擁護すべき文化的伝統ではなく、死に至る可能性もあるジェンダーに基づく暴力の一形態だ」と述べ、この慣習の撤廃を強く訴えています。

世界におけるFGMの致死率と法的背景

FGMはガンビアだけでなく、世界各地で深刻な健康被害と死をもたらしています。英バーミンガム大学の研究チームが2023年に発表した研究では、FGMが行われている国々において、毎年およそ4万4320人の少女と若い女性がFGMが原因で死亡していると推定されており、その危険性が科学的にも裏付けられています。

[ガンビアFGM禁止法、幼い命の犠牲で試される合憲性:最高裁審理へ

ガンビアの首都バンジュールで女性器切除禁止法廃止法案に反対する人々が抗議活動を行っている様子。]

ガンビアでは、ヤヒヤ・ジャメ元大統領が2015年にFGMを「時代遅れであり、イスラム教の義務ではない」として禁止を宣言しました。これを受けて議会は、FGMを禁止する最初の法律を可決し、違反者には3年以下の拘禁刑が科せられることになりました。しかし、この法律が実際に適用されることはこれまでほとんどありませんでした。

禁止法存続を巡る最高裁の審理と今後の影響

2024年7月、ガンビア議会はFGM問題を再検討し、宗教的伝統主義者からの強い圧力にもかかわらず、2015年のFGM禁止法を支持する姿勢を維持しました。しかし、この禁止法は直ちにガンビア最高裁に違憲審査を申し立てられ、現在も係争中という状況です。前述のイクオリティ・ナウのシミユ氏は、もしガンビア最高裁がFGMを禁止する法律を違憲と判断した場合、それは「女性と少女の福祉に甚大な悪影響を及ぼし、彼女たちは法的保護を受けられなくなるだろう」と警鐘を鳴らしています。

この最高裁での審理は、ガンビアにおける女性と少女の権利、そして公衆衛生と人権保護の未来を決定づける極めて重要な局面となります。幼い命が犠牲になった悲劇を繰り返さないためにも、FGMの根絶に向けた国際社会と国内の協力が引き続き求められます。