2025年8月13日夜、大阪・関西万博の会場がある人工島・夢洲に乗り入れる大阪メトロ中央線で送電線トラブルが発生し、全線が運転見合わせとなる事態に陥りました。これにより、万博会場にいた大勢の来場者が長時間にわたり帰宅困難となり、混乱の中で一夜を過ごすことになりました。全線運転再開までに約8時間を要し、この異例の状況下で一部の若者たちの“思わぬ行動”が注目を集めています。
万博会場を襲った突然の運休トラブル
8月13日午後9時30分頃に運転見合わせとなった大阪メトロ中央線は、翌14日午前5時30分頃にようやく全線での運転を再開しました。この路線は万博会場への唯一の鉄道ルートであるため、会場周辺には一時、約3万人もの来場者が滞留したとみられています。このような緊急事態に対し、万博協会は東ゲートや一部のパビリオンを開放するなどの対応を取りました。最終的に帰宅困難者が会場から退出できたのは、翌日の午前7時前だったと報じられています。
大阪メトロは14日午前に記者会見を開き、トラブルについて深く謝罪するとともにその原因を説明しました。調査の結果、レールの継ぎ目を補強する部分に設置されたシートに、鉄粉やほこりが大量に堆積し、それがショートを引き起こしたことで大規模な停電につながった可能性が高いと見られています。このトラブルの影響で、万博会場は翌14日も通常より30分遅い午前9時30分に開場するなど、混乱が続きました。
深夜の万博会場で「オールナイト万博」がトレンド入り
X(旧Twitter)上では、万博会場で一夜を過ごした人々からの報告が相次ぎ、一時的に「オールナイト万博」というハッシュタグがトレンド入りするほどの反響を呼びました。深夜の会場では、万博協会が災害用に備蓄していた水の配布を行うなど、帰宅困難者への支援が行われました。さらに、ポルトガル館のスタッフがビールを販売するなど、異例の状況下で来場者のために様々な対応が取られていたことが明らかになっています。
このような状況の中、予期せぬ形で事態を楽しもうとする来場者も現れました。特に注目を集めたのは、万博会場に設置されたライブカメラに映り込んだ一部の若者たちによる“パフォーマンス”です。
大阪・関西万博で地下鉄運休により帰宅困難となった来場者が深夜のライブカメラ前でパフォーマンスを披露する様子
WEBメディア記者の報告によると、シグネチャーパビリオン付近を映した映像では、10人ほどの若者がライブカメラに向かってラジオ体操や組体操、さらにはEXILEの代表曲「Choo Choo TRAIN」の振り付けを披露する様子が確認されました。また、EXPOホールエントランス付近のライブカメラでは、上半身裸になった3人の男性がそれぞれ体に「I」「♡(ハートマーク)」「万博」とペイントし、カメラの前に立つ姿も話題となりました。電車の運行再開まで時間があったため、彼らは自分たちなりの方法でこの状況をエンジョイしようとしたようです。
ネット上の賛否両論:「楽しむ姿勢」と「深刻な状況」
帰宅困難という予期せぬ事態における若者たちの行動は、X上で多様な反応を呼びました。ポジティブな意見としては、「どんな状況でも楽しめる人は強いね」「困難を楽しむこういう奴らめっちゃ好き」「この状況を楽しもうとする彼らは凄いな」など、彼らのポジティブな姿勢を評価する声が多く見られました。
しかし、その一方で、全ての人がこの状況を楽しめるわけではないという現実も浮き彫りになりました。同じ14日未明の時点で、体調不良を訴えた36人が救急搬送されるという事態も発生しており、この状況を好意的に受け止められないという声も上がっています。
一部のユーザーからは、「オールナイト万博は楽しむに変換出来た人達がいる一方、体調不良者とかずっと駆けずり回るスタッフがいたと思うと大変だな」「楽しんだもん勝ちだよな〜と思いつつ、子連れとか体調不良とか楽しめない状況だと最悪よなって」といった冷静な意見も投稿されました。また、「ニュース観てたら、元気な大学生さんみたいなのは『オールナイト万博!』って、ライブカメラの前で踊ったりしてたけど、コンビニの前でへたりこんでる親子連れとか、疲れて道で寝てる子供とか、なんかもう、熱帯夜の壮絶な絵面で…気の毒でした〜」と、楽しい側面と厳しい現実との対比を指摘する声もありました。
今回の大阪・関西万博における地下鉄運休トラブルは、大規模イベントにおける緊急事態対応の課題を浮き彫りにすると同時に、予期せぬ困難に対する人々の多様な反応を示しました。一部の人々が示した逆境を楽しむ姿勢は注目を集めたものの、その陰で体調を崩したり、困難に直面したりした人々がいたことも忘れてはなりません。今後、このような大規模イベントが開催される際には、万全な安全対策と緊急時対応計画、そして来場者へのきめ細やかなサポートが不可欠であることを改めて認識させられる出来事となりました。