日本政府は、20日から22日に横浜市で開催される「第9回アフリカ開発会議」(TICAD9)において、新たな経済圏構想「インド洋・アフリカ経済圏イニシアチブ」を提唱する方針を固めました。これは、アフリカ地域での影響力を強める中国を念頭に置き、日本の友好国であるインドや中東諸国と連携しながらアフリカの持続可能な発展に貢献する意思を示すものです。石破茂首相が会議の場でこの構想を表明する予定です。
「インド洋・アフリカ経済圏」構想の概要
政府関係者が13日に明らかにした情報によると、この新構想では、インド以西からアフリカ大陸全域を「インド洋・アフリカ経済圏」と定義し、自由で公正な経済圏の構築を目指します。具体的な取り組みとして、政府開発援助(ODA)を活用し、日本企業がインドや中東の既存拠点を経由してアフリカへ製品を輸出する環境を整備します。また、官民フォーラムの開催などを通じて、日本、インド、中東、アフリカの企業・団体間の取引や連携を積極的に後押しし、共同でのビジネスチャンス創出を促進します。
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構想の背景と戦略的意義
日本政府関係者は、「スズキやダイキンといった日本企業が、既にインドの製造拠点からアフリカへの輸出を進める動きが見られる。このような日本の経済成長に繋がる動きをさらに広げたい」と指摘しています。これまで日本は、「自由で開かれたインド太平洋」構想に基づき、東南アジアやインドとの連携強化を図ってきました。今回の新経済圏構想は、その延長線上にあるもので、より遠方に位置するグローバルサウス(新興・途上国)との関係を一層深める戦略的な意味合いを持っています。アフリカ大陸に豊富に眠る重要鉱物の採掘や利活用に関しても、日本政府は支援を強化する方針です。TICAD9では、アフリカ第2位の銅産地である内陸国ザンビアの首都と、モザンビークのナカラ港を結ぶ「ナカラ回廊」を、広域ODAを通じて整備する計画も打ち出される見込みです。
まとめ
今回の「インド洋・アフリカ経済圏イニシアチブ」は、日本がアフリカとの経済連携を深化させ、国際社会における存在感を高めるための重要な一歩となります。中国との競争が激化する中で、インドや中東との多角的な連携を通じてアフリカの持続可能な発展に貢献し、相互の経済成長を促進する日本の新たな外交・経済戦略として、今後の具体的な進展が注目されます。
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