大阪・関西万博、中央線トラブルで3万人足止め 会場受け入れと課題

2025年大阪・関西万博の会場に直結する大阪メトロ中央線で13日夜に発生した大規模な運行トラブルにより、来場者約3万人が会場内で足止めされ、一夜を明かす事態となりました。日本国際博覧会協会(万博協会)は帰宅困難者の会場内受け入れを余儀なくされ、来場者はベンチなどで仮眠を取りました。この事態は、万博運営における交通インフラと緊急時対応の課題を浮き彫りにしています。

大阪メトロ中央線トラブルの詳細

今回のトラブルは、13日午後9時半頃、万博会場最寄りの夢洲駅と隣接するコスモスクエア駅・大阪港駅間のトンネル内で発生しました。送電用レールでの停電が原因で、大阪メトロ中央線は一時的に全線で運転を見合わせました。約40分後の午後10時10分には、夢洲駅とコスモスクエア駅の間で折り返し運転が開始されたものの、夢洲駅から東ゲートにかけて多数の来場者が滞留し、混乱が広がりました。

万博協会の対応と来場者の状況

万博協会の速報値によると、13日の来場者数は約16万8000人に上り、トラブル発生時の午後9時半時点で約3万人が会場内またはその周辺に留まっていました。雑踏事故の危険性を考慮し、万博協会は来場者を会場内へと誘導。パビリオンにも受け入れを要請するなど、帰宅困難者を会場内で受け入れるという、4月の開幕後初となる対応に踏み切りました。中央線は翌14日午前5時25分に全線で運転を再開し、午前6時55分には全ての来場者の退場が完了しました。

大阪・関西万博会場の大屋根リング下で仮眠を取る帰宅困難な来場者たち。中央線トラブルで一夜を明かした状況を示す。大阪・関西万博会場の大屋根リング下で仮眠を取る帰宅困難な来場者たち。中央線トラブルで一夜を明かした状況を示す。

大阪市消防局の発表では、14日午前8時までに救急車40台が出動し、気分不良や熱中症のような症状を訴えた36人が病院へ搬送されました。搬送された全員が軽症と診断されています。

停電原因と背景にある課題

大阪メトロの発表によると、停電の原因は送電用レールの継ぎ目に設置された延焼防止シートに、鉄粉やほこりが付着し絶縁機能が低下したことによるショートでした。万博開催に向けた運行本数の増加が、ほこりなどの堆積を早めた可能性があると指摘されています。これは、インフラ維持管理と大規模イベント対応における潜在的な課題を示唆しています。

2025年大阪・関西万博会場の全体地図。トラブルが発生した大阪メトロ中央線夢洲駅の位置も確認できる。2025年大阪・関西万博会場の全体地図。トラブルが発生した大阪メトロ中央線夢洲駅の位置も確認できる。

浮かび上がった課題:情報発信と交通インフラの脆弱性

今回のトラブルにより、万博協会および関連機関の情報発信や施設開放における課題が浮き彫りとなりました。会場内のベンチや人工芝、さらには路上で仮眠を取る来場者が多数見られ、厳しい状況を物語っています。和歌山市から11歳の長男と来場し、大屋根リング下のベンチで一夜を過ごした48歳の男性は、暑さによる頭痛を訴え、「主な交通手段がメトロしかないのが問題だ」と、交通インフラの一極集中への懸念を表明しました。

この事態は、万博のような大規模イベントにおいて、単一の交通手段への依存がリスクとなること、そして緊急時の情報提供体制や来場者の安全確保、快適性の維持がいかに重要であるかを再認識させます。今後の万博運営において、交通インフラの多様化や、より迅速かつ的確な情報発信、そして緊急時の対応計画のさらなる強化が喫緊の課題となるでしょう。


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