今年を抗日戦争勝利80周年と位置付ける中国政府は、14日までに遼寧省瀋陽にあった旧日本軍の捕虜収容施設に国内外のメディアを招き「欧米人への虐待があった」と訴えた。抗日だけでなく「世界反ファシズム戦争」への勝利だとアピール。中国では英国人捕虜がテーマの映画も上映されており、歴史認識で欧米を抱き込む狙いだ。
瀋陽の捕虜収容施設は第2次大戦時、米国や英国、オランダなど連合国側の捕虜約2千人が収容された。
館内の展示は旧日本軍が戦争捕虜の扱いに関するジュネーブ条約に違反し、体罰を加えて捕虜に苦痛を与えたと指摘。解説員は12日、「病気や飢えで約240人の捕虜が亡くなった」と強調した。
中国では戦時中に沈没した日本船に乗っていた多くの英国人捕虜が死亡した「りすぼん丸事件」を題材にした映画「東極島」が上映されている。旧日本軍を残虐に描き、中国が英米の味方だったという歴史を誇示している。
中国では複数の抗日戦争映画が興行収入の上位を占め、各地にある抗日戦争施設を大勢の市民が訪れている。(瀋陽共同)