韓国の李在明大統領は15日、ソウルで開催された日本統治からの解放記念日「光復節」の式典において演説を行い、日韓関係の発展に対する強い意欲を示すとともに、歴史問題への向き合い方を日本政府に求めた。李大統領は、両国が「過去を直視し、未来に進む知恵を発揮すべき時」であると強調した。
李大統領にとって、6月の大統領就任後初の光復節演説となった。演説の中で日本を「庭を共有する隣人であり、経済発展において不可欠な重要なパートナー」と位置づけ、両国間の協力を呼びかけた。
日韓関係の未来志向的発展への言及
李大統領は、23日から24日にかけて初の日本訪問を予定しており、石破首相との会談が計画されている。今回の演説では、首脳間の相互訪問である「シャトル外交」を通じて、「頻繁に会って率直に話し合いながら、日本と未来志向的な共生、協力の道を模索する」との方針を改めて示した。これは、両国関係を前進させる上での対話の重要性を強調するものとみられる。
歴史認識と信頼構築への要求
一方で、李大統領は日韓間の歴史問題についても言及し、日本政府に対し「過去のつらい歴史を直視し、両国間の信頼が損なわれることがないよう努力してくれるものと期待する」と要求した。これは、韓国国内で日本の謝罪を求める声が根強く存在することを意識したものと分析される。
具体的な歴史問題には深く踏み込まなかったものの、元慰安婦などを念頭に「私たちのそばには依然として過去の問題で苦しむ方々がいる」と述べた。さらに、「過酷な日本植民地支配に対抗しながらも、いつかは両国が真の隣人になれるという希望を捨てなかった先人たちの思いを引き継いでいかなければならない」と語り、歴史の教訓と未来への希望の継承を訴えた。
光復節式典で日韓関係について語る韓国の李在明大統領
北朝鮮との関係における一貫した姿勢
北朝鮮との関係について、李大統領は「今後も緊張緩和と信頼回復のための措置を一貫してとっていく」と強調し、「北朝鮮側が(韓国側に)応えてくれることを期待する」と述べた。朝鮮半島の安定と平和構築に向けた対話への継続的な意欲が示された形だ。
結論
李在明大統領の光復節演説は、日韓関係の未来志向的発展への強い願望と、歴史問題に対する韓国側の根強い認識、そして北朝鮮との関係改善への意欲を明確に示した。今回の演説は、今後の日韓関係および朝鮮半島情勢の動向を占う上で重要な指針となるだろう。