終戦80年を前に注目集まる!歴史新書がトーハン週間ベストセラーを席巻

8月13日、トーハンの週間ベストセラーが発表され、新書部門では『独断と偏見』が第1位を獲得しました。続く第2位には『ユダヤ人の歴史 古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで』、第3位には『世界秩序が変わるとき 新自由主義からのゲームチェンジ』がランクインしました。今週のランキングでは、終戦80年の節目を目前に、日本の近現代史を振り返る新書が3冊もトップ10入りを果たすという、注目すべき傾向が見られました。

近現代史を問い直す教養書が多数ランクイン

ベストセラー6位にランクインした『「あの戦争」は何だったのか』は、近現代史研究者の辻田真佐憲氏による教養書です。第二次世界大戦を中心に「あの戦争」を、単なる時系列に沿った通史としてではなく、「なぜ起きたのか」「回避は可能だったのか」「日本に正義はなかったのか」といった根源的な問いを立て、幕末から現代に至る近代史全体の流れの中で多角的に再検討しています。辻田氏はまえがきで「日本の過ちばかりを糾弾することでも、日本の過去を無条件に称賛することでもない。過ちを素直に認めながら、そこに潜んでいた“正しさの可能性”を掘り起こす、言い換えれば「小さく否定し、大きく肯定する」語りを試みることである。それこそが、われわれの未来につながる歴史叙述ではないだろうか」と、本書の目的を述べています。

辻田真佐憲著『「あの戦争」は何だったのか』の書籍カバー画像。終戦80年に向けた近現代史の教養書。辻田真佐憲著『「あの戦争」は何だったのか』の書籍カバー画像。終戦80年に向けた近現代史の教養書。

昭和史の真実と日本人の選択

7位の『なぜ日本人は間違えたのか』は、昭和史研究の第一人者である作家の保阪正康氏による最新著作です。昭和100年、あの戦争、二・二六事件、東京裁判、高度経済成長、田中角栄、昭和天皇、そして戦後80年という8つの主要な事象を改めて見つめ直し、歴史の真相に迫ります。日本人はどこで、何を間違えたのか――著者の鋭く冷静な論考が、読者に深い洞察を与えます。

「南京事件」研究の最新決定版

そして、9位に入った『南京事件 新版』は、「南京事件」研究の第一人者である都留文科大学名誉教授の笠原十九司氏が、事件の全貌を俯瞰し詳述した一冊です。大量殺害や略奪、性暴力といった凄惨な行為が、どのような経緯で発生し、どのように拡大し、何をもたらしたのかを徹底的に分析。日中全面戦争への道筋、虐殺の被害実態、推定される犠牲者数などを、1997年刊行の旧版よりもさらに精密に解明し、事件の全体像を多角的に描き出した増補・決定版となっています。

歴史の記憶と継承という普遍の課題

終戦80年の節目を前にして、これらの歴史書が注目を集めることは、歴史をいかに記憶し、いかに次世代へ語り継ぐかという普遍的な課題が、現代社会において依然として重要であることを示しています。この節目を越えた先にも、過去への問いかけは途切れることなく続いていくことでしょう。

参考資料

Source link: https://news.yahoo.co.jp/articles/dee85e54d802a1b95d2ea9ae28e5852d