古田敦也氏が明かす「野球漫画バイブル」:人生を彩った『ドカベン』の衝撃

元ヤクルトスワローズ監督であり、日本プロ野球界のレジェンドである古田敦也氏(59)が、15日深夜放送のテレビ朝日系「三村やす子のバズマンTV」に出演し、自身の人生に大きな影響を与えた“バイブル”と呼ぶ野球漫画について深く語りました。現役時代から「考える捕手」として知られた古田氏が、どのような野球漫画に心を揺さぶられ、自身のプレースタイルや人間形成にまで影響を受けてきたのか、その驚くべきエピソードに迫ります。

古田敦也氏がテレビ番組で自身の野球漫画バイブルを語る姿古田敦也氏がテレビ番組で自身の野球漫画バイブルを語る姿

古田敦也氏の人生を形作った野球漫画トップ3

古田氏が選んだ「人生を決定づけた野球漫画ベスト3」は以下の通りです。
3位には、ちばあきお氏による不朽の名作『キャプテン』。努力とチームワークの重要性を描いた作品として、多くの野球少年たちに影響を与えてきました。
2位は、あだち充氏の代表作『タッチ』。野球と青春、そして繊細な人間関係が織りなすストーリーは、野球漫画の枠を超えて愛され続けています。
そして栄えある1位に輝いたのは、水島新司氏による金字塔『ドカベン』でした。この選出は、古田氏の野球人生と深く結びついていることが、その後の語りから明らかになります。

『ドカベン』:古田氏にとっての“バイブル”

古田氏は、『ドカベン』を単なる野球漫画ではなく「バイブルに近い」と表現し、その深い魅力を熱く語りました。特に主人公である捕手・山田太郎への憧れは尋常ではありませんでした。「打てるキャッチャー」という山田太郎のプレースタイルは、自身も捕手を務めていた古田氏にとって理想の姿であり、毎週欠かさず週刊誌を購入して読み込んでいたといいます。

古田氏は、山田太郎の驚異的な動体視力を真似しようとした幼い頃のエピソードも披露しました。電車に乗っている際、山田が通過する駅名をすべて見分けられるという描写に感銘を受け、「自分たちも本当に見えるのか」と試したと振り返ります。「たまに見えると(山田太郎に)近づいたと思うんです。真似したら山田太郎のようになれるんじゃないかって思わせてくれる内容でした」と語るその言葉からは、漫画が古田氏の成長に与えた計り知れない影響が伺えます。そして「これやっているの、僕だけじゃないと思います」と付け加え、多くの読者が共感できるであろう体験に言及しました。

漫画世界での“自身との対決”:古田氏の不思議な体験

さらに『ドカベン』の「プロ野球編」には、なんと古田氏自身が登場するという驚きの展開がありました。西武ライオンズに入団した山田太郎と、千葉ロッテマリーンズの里中智がオールスター戦でバッテリーを組み、対戦相手として古田氏が登場するのです。この摩訶不思議な体験について古田氏は、「それ読みながら、不思議な気分にならないですか?山田・里中のバッテリーと戦っているのが俺で、俺が読んでるんです。意味わからへんやん」と、漫画と現実が交錯する感覚を率直に表現しました。

漫画の中では、里中投手の投球を「バッター古田は読み切っている」と描写されており、古田氏自身も「俺、山田太郎よりそんなに凄いの?山田太郎をバイブルと思いきてきたのに、読み切っている俺が漫画の中にいるんです、俺凄いなと思いました」と、複雑な心境を明かしました。しかし、打球が飛んだ先にオリックス・バファローズに入団した殿馬一人選手がいて捕球した場面では、「やっぱり殿馬は凄いな」と感嘆し、漫画の登場人物への敬意を忘れない様子でした。

まとめ

古田敦也氏の人生を豊かに彩った野球漫画、特に『ドカベン』は、氏にとって単なる娯楽を超え、自身のプレースタイルや野球に対する姿勢にまで深く影響を与える「バイブル」であったことが明らかになりました。漫画のキャラクターに憧れ、その能力を真似ようと試み、さらには自身が漫画の世界に登場するという稀有な経験は、フィクションが現実の人生に与える計り知れない力を改めて示しています。古田氏の語りからは、野球への情熱と漫画への深い愛情がひしひしと伝わってきました。