米ミネソタ州ミシシッピ川の水中から発見された一台の車両が、1967年から行方不明となっていた男性の未解決失踪事件に新たな光を当て、長年の謎の解明につながる可能性が出てきました。偶然の発見から始まったこの出来事は、半世紀以上も家族を苦しめてきた疑問に終止符を打つ転機となるかもしれません。
発見の経緯と遺体の確認
この重要な発見は、ミネソタ州で釣りをしていた2人の男性によってなされました。漁師の一人、ブロディー・ロッホさんは、ソナーを使用して魚群を探していたところ、川底に沈む車両の反応を捉えました。これはまさに「完全に運だった」とロッホさんは振り返っており、もし同行者が釣りをしていなければ、見過ごしていただろうと語っています。
車両の発見から3日後の今月13日、ダイバーがその位置を特定し、車内で遺体を発見しました。スターンズ郡のスティーブ・ソイカ保安官が発表した情報によると、発見された車は1960年代製の「ビュイック」でした。長期間にわたり水中にあったにもかかわらず、引き揚げ時には「驚いたことにほぼ原形を保ったまま」の状態であったとのことです。
ミシシッピ川から引き揚げられた、半世紀前の未解決事件に関連する捜査車両と捜査員
身元の特定とロイ・ジョージ・ベンさんの背景
地元当局は、レッカー業者と協力して車両を水中から引き揚げ、慎重に車体番号を照合しました。その結果、この車が1967年9月から行方不明となっていたロイ・ジョージ・ベンさんが所有していたものであることが確認されました。当局の行方不明者情報によれば、ミネソタ州ソークラピッズ出身のベンさんは、失踪当時、1963年製のメタリックブルーの「ビュイック・エレクトラ」を運転しているところが最後に目撃されていました。
保安官事務所は声明で、車内で発見された遺体や遺品、そして車両の識別番号から、発見された人物はベンさんであるとの見方を示しています。ベンさんは失踪する際、「多額の現金を所持していた」と報告されていました。当時の地元紙の報道によると、ベンさんは失踪時59歳で、レストランで食事をしていたのを最後に消息を絶ったとされています。彼は家電修理会社の経営者であり、失踪の前年に妻を亡くしていました。
長年にわたる捜索と現在の進展
ベンさんの失踪事件はその後数カ月にわたり捜索が続けられましたが、未解決のまま時が過ぎました。彼の兄弟であるウォルターさんも当時、当局と連携して捜査に協力していました。ベンさんの私物は1968年に競売にかけられ、1975年には法的に死亡が宣告されていました。
現在、発見された遺体は検視のため専門機関に送られていますが、長期間水中にあった影響で、DNAなどによる身元特定が困難になる可能性も指摘されています。しかし、この事件を担当するベントン郡のトロイ・ヘック保安官は、発見された車や状況から見て、ほぼ間違いなくベンさんのものであると考えていると述べました。遺族にはすでに遺体発見の連絡が入り、以前からDNA提供の依頼も行っていたとのことです。ヘック保安官は、「遺族が長年の苦悩に区切りをつけるのに必要な転機をようやく手に入れられたことにただ感謝している」と語りました。
今回のミシシッピ川での劇的な発見は、57年という長い年月を経て、未解決だった失踪事件の核心に迫る決定的な手がかりをもたらしました。正式な身元特定と事件の最終的な解明が待たれますが、これはベンさんの遺族にとって、長年の心の重荷から解放される重要な一歩となるでしょう。
参照元:
CNN.co.jp