アメリカのドナルド・トランプ前大統領は17日、ロシアが占領するクリミア半島はウクライナに戻らず、またウクライナがNATO(北大西洋条約機構)に加盟することもないとの見解を示しました。この発言は、停戦に向けたロシアとの和平交渉において、ウクライナが直面する厳しい現実を示唆するものとみられています。
トランプ氏のSNS投稿と強硬な立場
トランプ氏は自身のSNSで、ウォロディミル・ゼレンスキーウクライナ大統領が望めば、ロシアとの戦争を「ほぼ即座に終わらせることも、戦い続けることもできる」と投稿。その上で、2014年にロシアが一方的に併合を宣言したウクライナ領クリミア半島について、当時のバラク・オバマ元大統領が「介入せずに放棄した」と強く批判しました。そして、ウクライナが今回の交渉でクリミアを「取り戻すことはない」と断言。さらに「ウクライナがNATOに加盟することもない」と強調し、「変わらないこともあるということだ!」と、事実上ロシア側の意向に沿った姿勢を鮮明にしました。
元アメリカ大統領ドナルド・トランプ氏が、ウクライナのクリミア帰属とNATO加盟に関する見解を示す様子
米露首脳会談後の新たな展開
一方で、米露首脳会談に同席したウィトコフ特使は、アメリカなどがウクライナに「NATO加盟国に近い安全の保証」を与えることについて、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が容認したと報じています。これは、現行の紛争解決に向けた新たな動きとして注目されます。トランプ氏は18日のゼレンスキー氏との会談を前に、これらの条件をウクライナ側が受け入れるよう、直接促すものとみられており、和平交渉の行方に大きな影響を与える可能性があります。
結論
トランプ氏の一連の発言は、ウクライナ紛争の解決に向けた国際的な議論に新たな波紋を投げかけています。クリミアの帰属とNATO加盟に対する彼の明確な見解は、今後の和平交渉、そして米ウクライナ関係の動向を決定づける重要な要素となるでしょう。
参考文献
フジテレビ 国際取材部