大竹まこと、石破首相「おろし」に異論 自民党の真の課題はどこに?

参院選敗北後の自民党内で高まる「石破おろし」の動きに対し、タレントの大竹まこと氏がテレビ番組で痛烈な持論を展開し、注目を集めています。8月17日放送の『ビートたけしのTVタックル』(テレビ朝日系)に出演した大竹氏は、自民党が直面する本質的な問題は内閣総理大臣の交代では解決しないと主張。この発言は、与党内の権力闘争と日本の政治が抱える構造的課題を浮き彫りにしました。本記事では、番組で交わされた議論と、大竹氏の主張の背景にある自民党の現状について深掘りします。

テレビ朝日系『ビートたけしのTVタックル』に出演し、石破おろしについて持論を述べるタレントの大竹まこと氏テレビ朝日系『ビートたけしのTVタックル』に出演し、石破おろしについて持論を述べるタレントの大竹まこと氏

参院選敗北と石破首相への責任論

今夏の参院選で大敗し、衆参両院で過半数割れとなって少数与党に転落した自民・公明党。自民党総裁の石破首相は続投を表明したものの、党内では不満が広がり、「石破おろし」を求める動きが活発化しています。特に、旧茂木派や麻生派、そして派閥裏金事件を引き起こした旧安倍派を中心に、石破首相の辞任や総裁選の前倒しを求める声が強まる中、番組では石破茂首相(68)の政権運営の行方が特集されました。この議論には、大竹氏のほか、前厚生労働大臣の武見敬三氏(73)、元衆院議員の金子恵美氏(47)、経済思想家の斎藤幸平氏(38)らが出演し、多角的な視点から与党の課題が議論されました。

自民党低迷の要因を巡る識者たちの見解

番組内で、与党が参院選で敗北を喫した原因について議論が展開されました。経済思想家の斎藤幸平氏は「今回国民が怒っていたのって、裏金の問題とかを含めた石破総理個人の問題というよりかは自民党の問題だと思うんですよね」と述べ、国民の不満の根源が党全体の問題にあると指摘。長期的な視点から自民党の政策と姿勢が問われているとしました。

しかし、これに対し前厚生労働大臣の武見敬三氏は「いや違う」と即座に反論。「国民が怒っていた一番の根本は、じいさんばあさんがどんどん増えてくれば、若い人の負担というのは確実に増えていっちゃうんですよ。その負担というが社会のストレスを作っていて」とコメント。50代、60代が親の介護によって離職せざるを得ない実情を挙げつつ、少子高齢化社会における国民の社会的ストレスが「反自民」という風潮を作り出し、参院選の結果に反映されたとの見解を示し、異なる角度から自民党低迷の理由を分析しました。

大竹まこと氏の核心を突く主張と反論

議論が深まる中、番組冒頭から沈黙を保っていた大竹まこと氏が「今回の選挙の責任は石破さんじゃないよね」と切り出しました。大竹氏は「自民党のいままでとってきた政策だよね。例えば裏金議員のこともそうだし、農政の今回一大転換するけど、減反政策だったり、そういういままでの自民党の代表が石破さんで」と語り、問題の根源が石破首相個人ではなく、自民党がこれまで推進してきた政策そのものにあると主張しました。

さらに「石破さんを下ろしたってしょうがないよ。自民党自体がそれなのにいまも、そのことにこだわって党内で政局争いをしてるっていうのがね。こっちが一番情けない話でさ」と、党内の「石破おろし」の動きを痛烈に批判。斎藤氏の意見に賛同する姿勢を見せ、根本的な問題解決にはならないと訴えました。

自民党内の「石破おろし」の動きに対し、番組内で持論を展開する大竹まこと氏の様子自民党内の「石破おろし」の動きに対し、番組内で持論を展開する大竹まこと氏の様子

元衆院議員の金子恵美氏が「ただ、総裁という立場のその責任はどうなのか」と説明を試みましたが、大竹氏は語気を強め、「いやだから、下ろしてどうすんだって。どうすんだよ!」と反論し、安易な首脳交代では根本的な解決にはならないとの立場を鮮明にしました。この発言は、単なる責任追及ではなく、自民党が抱える構造的な課題に目を向けるべきだという大竹氏の強いメッセージが込められています。

短期政権の弊害と長期ビジョンの必要性

大竹氏の主張に対し、武見氏は「自民党のなかで総裁選挙で選ぼうとするときに、ただ単なるイメージ操作で勝ちそうだからっていう簡単なかたちで総裁を選ばないし、もう少しまともに考える。いま近未来の日本が少子高齢化現象で、どんどん衰えていくっていうのは明白じゃないですか。どうやったらね、実際この国が経済成長を続けられるような国にしていくのかってビジョンをちゃんと作って」と述べ、総裁選びには将来の日本を見据えた国家ビジョンが不可欠であると強調しました。

これに対し、大竹氏は腕を組みながらじっくりと耳を傾けた後、「(国を)変えるっていう論理だけど。武見さんから見て、外国から見て、10カ月で総理大臣が変わるこの国の在り方は武見さんはどう(思っている?)」と質問。武見氏は、安倍政権以前の頻繁な首相交代が国を真に変えられず、若い層に社会的なストレスを溜めてきたと指摘し、これからは若い世代からも理解される政策とメッセージを伴う総裁が必要だと応じました。MCの阿川佐和子氏が「自民党のなかに危機感はあるんですかね?」と尋ねると、武見氏は「相当ある、相当ある」と強調しましたが、番組では大竹氏が武見氏の意見に賛同する様子は映し出されず、議論は別の話題へと移っていきました。

世論の反応:大竹氏発言への賛否両論

大竹まこと氏が「石破さんを下ろしたってしょうがないよ」と主張したシーンはX(旧Twitter)でも大きな話題となり、ユーザー間では賛否両論が巻き起こっています。

反対派からは、「今の自民党の代表が石破茂ですよ だから責任の所在は代表である石破茂が責任を取るのがあたり前でしょ」「どんな事情があろうとも その時の長が責任を取るのが組織 それ言い出したらさらに責任の所在が 有耶無耶となってしまう」「大竹さんは組織の長の責任の取り方を知らないみたい」といった声が上がり、総裁の責任を問う声が多数を占めました。

いっぽう、大竹氏に賛同する声も多く、「大竹まことの言ってる事が正しい。自民党がこうなったのは、裏金統一教会似非保守議員が元凶だ!」「本当に、大竹まこと氏が言うように、石破さんを下ろしてどうするんだ! 選挙して顔だけ替えれば、それで 自民党は纏まるの?」「本質見抜いてるわ」といった意見が寄せられ、自民党の構造的な問題に焦点が当たるべきだという見方が支持されています。

結論

今回の『ビートたけしのTVタックル』での議論は、自民党が参院選敗北後に直面している「石破おろし」という政局争いの裏に、より根深い構造的な課題が存在することを浮き彫りにしました。大竹まこと氏が主張するように、問題の根源が内閣総理大臣個人の責任ではなく、自民党が長年積み重ねてきた政策や組織体制にあるならば、安易な首脳交代だけでは国民の信頼回復には繋がらないでしょう。

今後の自民党には、目先の政局に終始するのではなく、裏金問題や少子高齢化といった日本の根本的な課題に対し、国民が納得できるような長期的なビジョンと具体的な政策を提示することが求められています。世論が二分する中、自民党がどのように国民の「反自民」感情を乗り越え、真の変革を遂げられるのか、その動向が注目されます。


参考文献: