インテル再建へ米政府が異例の株式取得検討、ソフトバンクも20億ドル出資

経営不振に直面する半導体大手インテルに対し、米トランプ政権が異例の支援策として株式取得を検討していることが明らかになりました。取得額は105億ドル(約1兆5500億円)に上るとされ、半導体補助金法を活用した救済策が模索されています。これに加えて、ソフトバンクグループ(SBG)もインテルへ20億ドル(約3000億円)の出資を発表し、米国における先端技術および半導体産業への投資強化を図る姿勢を示しています。

半導体大手インテルの本社ビル、カリフォルニア州サンタクララ半導体大手インテルの本社ビル、カリフォルニア州サンタクララ

米国政府によるインテル株式取得計画の概要

ブルームバーグ通信などが18日に報じたところによると、トランプ米政権はインテルの株式10%を取得する方向で協議を進めています。この巨額の資金は、米国の半導体製造能力強化を目的とした半導体補助金法(CHIPS Act)からの充当が検討されており、国内の重要産業である半導体分野の安定化と競争力維持を狙った異例の介入となります。計画が実現すれば、米政府がインテルの筆頭株主となる可能性があり、その影響は半導体業界全体に及ぶと見られています。出資規模の詳細は未確定であり、他の半導体関連法を活用する案も浮上しています。

ソフトバンクグループのインテルへの投資

同時期に、日本のソフトバンクグループ(SBG)もインテルへの20億ドル規模の出資を正式に発表しました。SBGは1株当たり23ドルでインテルの普通株を取得する契約を締結しており、これは米国における最先端技術や基幹産業である半導体分野への投資を強化する戦略の一環と位置付けられています。ソフトバンクグループは以前からテクノロジー分野への積極的な投資で知られており、今回のインテルへの出資も、同社の今後の成長性を見込んだものと推測されます。

インテルの経営状況と再建への取り組み

インテルは近年、半導体受託生産事業の低迷や、人工知能(AI)半導体の開発競争における出遅れが響き、厳しい経営状況にあります。今年3月には、SBGで2020年から2022年まで社外取締役を務めたタン氏を最高経営責任者(CEO)に起用。タン氏は就任後、業績改善を目指し、人員削減やコスト削減といった大規模なリストラ策を断行してきました。しかし、今年7月下旬に公表された2025年4~6月期決算では、純損益が6四半期連続の赤字を計上するなど、依然として厳しい状況が続いています。

異例の出資がもたらす影響

今回の米政府とソフトバンクグループによる大規模な出資計画は、インテルの経営再建に向けた重要な転換点となる可能性があります。特に米政府が筆頭株主となるという異例の事態は、単なる企業の救済を超え、国家戦略としての半導体産業保護の強い意思を示すものです。これによりインテルは、財政的な支援に加え、研究開発や設備投資を加速させる新たな機会を得ることが期待されますが、同時に政府の関与が経営に与える影響についても注目が集まります。

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