テイラー・スウィフトの新作アルバム「ザ・ライフ・オブ・ア・ショーガール」は、彼女の新たな「時代」を象徴し、そのファッションスタイルにも大きな変化をもたらします。今回は、ラスベガスのダンサーが持つ魅惑的な精神を体現し、これまで見せた「フォークロア」のウールコートや「レッド」のコッパーのキャスケットとは一線を画しています。このアルバムは、世界的に有名なポップスターであり、洗練されたパフォーマーとして自身の人生の大部分を占めるようになった経験を深く掘り下げています。
「エラス・ツアー」を経て「ショーガール」の時代へ
２０２４年、５大陸５１都市を巡った「エラス・ツアー」は、史上最高の興行収入を記録しました。スウィフトはこのアルバムを欧州ツアー中に執筆したと、ボーイフレンドのトラビス・ケルシーのポッドキャスト「ニュー・ハイツ」で語っています。ケルシーが「文字通りショーガールのような人生を送っているね」と話すと、スウィフトは「ショーの裏側、向こう側にある人生」だと応えました。この言葉は、アルバムの核心を突いています。
アルバムジャケットに込められた孤独と輝き
アルバムのジャケット写真では、スウィフトがデミカップブラと網目模様のクリスタルを身につけ、バスタブらしきものに浸っています。また、きらめく宝石で覆われたショーガール風の衣装で両腕を広げた写真も公開されました。しかし、セクシーで華やかな衣装とは対照的に、背景には誰もいない劇場と冷たい青い光が描かれ、観客が去った後の静かで孤独な瞬間が表現されています。
テイラー・スウィフトが新作アルバム「ザ・ライフ・オブ・ア・ショーガール」のジャケットで、きらびやかなショーガール風衣装をまとい、バスタブに浸かる姿
ポップスターが魅了される「ショーガール」の系譜
このように肌の露出度を高める決断は、アーティストとしてのスウィフトにとっては新たな方向性ですが、ショーガールのようなファッションコードを取り入れたパフォーマーは彼女が初めてではありません。現代のポップスターは長きにわたり、ショーガールのイメージからインスピレーションを得てきました。１９世紀後半のパリのミュージックホールを彩ったコーラスガールやバーレスクダンサーは、華やかで露出度の高い揃いの衣装を特徴としており、ラスベガスのショーガールはクリスタルのケージブラやダイヤのショーツ、背の高い羽根のヘッドドレスといった独自のブランドを確立しています。
ビヨンセ、ケイティ・ペリー、マライア・キャリーといった世界的なスターたちはこぞってこの象徴的な衣装に身を包んできました。クリスティーナ・アギレラは映画「ムーラン・ルージュ」の劇中歌「レディ・マーマレード」での圧倒的なパフォーマンスで、ショーガールのスタイリングと切っても切れない存在となりました。カイリー・ミノーグは２００５年のツアーでクリスタルをちりばめたレオタードに巨大な羽根のバスルとヘッドドレスを着用し、直近では２０２５年のアルバム「アディソン」で全米・全英チャートを席巻したアディソン・レイが、ミュージックビデオ「ハイ・ファッション」で宝石をちりばめたケージブラを着用しています。
ステージ内外で輝くテイラー・スウィフトの真髄
こうしたポップスターたちがショーガールのきらびやかな外見にこれほど惹かれるのは、観客を魅了し、ステージ照明を最大限に生かすようデザインされたフェミニンなスタイリングやメイク、精巧な衣装のためかもしれません。あるいは、表面的な派手さだけでなく、熱心に働くダンサーたちのひたむきさ、才能、そして心意気に親近感を覚えている可能性もあります。
昨年のスウィフトは、連夜派手な衣装を身にまとい、スタジアムを埋め尽くす観客に向け、底なしに見えるエネルギーを振り絞りパフォーマンスを見せ続けました。その過酷なスケジュールは、ラスベガスのショーガールに匹敵するものだったでしょう。今回のアルバムの内容について、スウィフトは「これは私がステージに上がっていないときに経験したものだ」と語っており、プライベートで何が起ころうとも、ショーは続けていかなければならないというショービジネスの厳しさを体現しています。
テイラー・スウィフトが「ショーガール」の時代を迎えることは、単なるファッションの変化以上の意味を持ちます。それは、世界的なポップスターとしての彼女の経験、パフォーマンスへの献身、そしてスターの光と影、すなわちステージの華やかさとその裏にある孤独や努力を表現する新たな手段なのです。このアルバムは、スウィフトのキャリアにおける深い内省と、エンターテイメント業界の真髄を垣間見せてくれることでしょう。
