在中国大使館(東京都港区)は18日、公式ウェブサイトを通じて、日本国内で治安を脅かす事件が多発し、特に中国人への襲撃事件が各地で発生しているとして、在日中国人や中国人観光客に対し、一層の注意喚起を行いました。大使館は、訪問者や在住者に「人混みや治安の悪い場所を避け、現地の法律や規則を遵守するよう」強く求め、万が一差別行為や不当な状況に直面した場合は、「物理的な衝突を避け、冷静に証拠を保全すること」を促しています。
在日本中国大使館の外観。在日中国人や中国人観光客へ安全対策を呼びかけている。
頻発する治安を脅かす事件と注意点
大使館の警告は、近年日本で増加している特定の事件を背景にしています。治安悪化の兆候が見られる地域や状況を避けることが、身の安全を守る上で重要だと強調されています。また、不当な扱いや差別行為に遭遇した際には、感情的にならず、その場の状況を冷静に記録し、証拠として保存することが後の対応に役立つと助言しています。これは、法的手続きや外交的解決に向けた重要なステップとなります。
富士登山における安全対策
日本を訪れる中国人観光客に人気の高い富士登山に関しても、具体的な危険性が指摘されました。最近、中国人留学生が豪雨の中、軽装で富士山に登り行方不明になった事例が挙げられています。大使館は、「真夏であっても、山頂の夜間の気温は5~8℃まで下がる場合がある」と警告し、適切な防寒着を持参するなど、気象条件に応じた十分な準備をするよう改めて呼びかけました。
交通安全ルールの徹底
交通安全についても厳しい注意が促されました。特に、中国人観光客が線路上で写真を撮影中に列車にはねられ死亡したという痛ましい事故が例として挙げられました。大使館は、日本の交通ルールは厳格であり、信号機や交通標識をよく確認することの重要性を強調。赤信号の場合は線路の柵の外で待機し、決して線路内に立ち入らないようにと、基本的ながらも命に関わるルールの徹底を求めています。
在日中国人関連の具体的な事件事例
今回の注意喚起の背景には、実際に発生した複数の事件があります。今年6月には、京都市下京区で中国人観光客が刃物のようなもので切りつけられる事件が発生し、京都府警は今月18日、殺人未遂の疑いで中国籍の30代男を逮捕しました。また、7月30日には大阪市西成区で中国人学生が首を絞められるなどの暴行を受け、財布やスマートフォンを強奪される事件が発生。大阪府西成署は8月1日、強盗傷害の疑いで同区の無職、高木杏容疑者を逮捕しています。これらの事件発生後、中国大使館は日本人に対する対策強化を呼びかけていました。
これらの具体的な事件事例は、単なる注意喚起に留まらず、在日中国人や訪日観光客が直面する可能性のある現実的なリスクを示しています。自身の安全を守るため、常に周囲に注意を払い、緊急時には現地の警察や大使館に速やかに連絡することが不可欠です。
参考文献: