お笑い芸人のなかやまきんに君(46)が、かつてのスタッフによる詐欺被害に遭い、深いショックを受けている。警視庁大井署は8月7日、きんに君の個人事務所「333(ササミ)」から現金800万円を詐取したとして、元マネージャー補助の飯尾雄一容疑者(51)を逮捕した。しかし、この事件は飯尾容疑者の過去に潜む、はるかに大規模な詐欺事件の一端に過ぎない可能性が浮上している。
なかやまきんに君、元スタッフの詐欺被害にショックを隠せない様子
なかやまきんに君事務所から800万円詐取、逮捕の経緯
社会部デスクによると、飯尾雄一容疑者はなかやまきんに君の個人事務所「333」と業務委託契約を結び、マネージャー補助として働いていた。昨年4月、飯尾容疑者は「自分が運営する洋服の通販サイトの事業資金が必要になった」と虚偽の説明をし、事務所から800万円を自身の口座に振り込ませた。しかし、金を受け取ると飯尾容疑者は音信不通になり、事務所は昨年6月に警察に相談の上、被害届を提出。これを受けて警視庁大井署が捜査を進め、今月7日に詐欺容疑で飯尾容疑者を逮捕するに至った。
この逮捕を受け、なかやまきんに君は「大変ショックを受けております。今後も警察の捜査に協力していく所存です」とコメントを発表した。しかし、この800万円の詐欺事件だけで一件落着とはいかない、飯尾容疑者の衝撃的な過去が明らかになりつつある。
飯尾容疑者の“裏の顔”:5年前に発覚した30億円規模の出資詐欺
さる民事訴訟の証拠書類には、2020年9月付で飯尾雄一容疑者の陳述として、次のような記述が残されている。「私が行っていた総額30億円に上る借り入れは、結果として貸主の皆さんから見れば詐欺行為にあたるかと思います」。つまり、飯尾容疑者は5年前に自らの詐欺行為を自白していたのだ。
この問題は、2021年8月26日号の「週刊新潮」によって詳しく報じられている。当時の舞台は東京の銀座。飯尾容疑者は大手生命保険会社出身で、独立後は保険代理店を経営する傍ら、女子音大生らがクラシックを演奏するサロンのオーナーも務めていた。彼が首謀者となった出資話では、数十人が被害に遭い、その総額はなんと30億円にも上るとされている。
数千万円をだまし取られたという被害者男性は、当時の状況について次のように語った。「コロナ禍の当時、売掛金を早期資金化するファクタリングの需要が伸びていました。飯尾は『ファクタリング事業を手がけるクレジットカード決済代行会社への出資で儲けませんか』と、月3〜6%といった高配当をうたい出資を募っていたのです」。しかし、実際には集まった金は愛人女性への費用に費やされ、新たな出資者からの資金を別の出資者への配当に回すという「自転車操業」の状態だったという。結果として配当は支払われず、元本も戻らない被害者が続出し、その被害者層は生保関係の知人や銀座界隈の関係者、サロンの客など多岐にわたった。先に触れた民事訴訟の陳述書は、1億円を失った生保関係の被害者が起こした訴訟に関するものだった。
今回のなかやまきんに君事務所からの800万円詐欺事件をきっかけに、飯尾容疑者の巨額に及ぶ過去の詐欺事件が改めて浮上した形だ。一連の事件の全容解明と、今後の警察の捜査の進展が注目される。