米国の元政府高官が、韓国の李在明(イ・ジェミョン)氏が採る外交戦略について強い懸念を表明しました。第1次トランプ政権でデンマーク駐在大使を務めたカーラ・サンズ氏は、李氏が北朝鮮の潜在的脅威への備えよりも経済支援に傾倒し、さらに米国と中国の間で「二股戦略」を取っていると警告。これは韓国国民にとってリスクの高い選択であり、ドナルド・トランプ元大統領を「利用できる」と考えるのは危険な誤りだと指摘しています。サンズ氏のこの発言は、次期トランプ政権で要職を輩出すると見られる親トランプ系シンクタンク「米国第一政策研究所(AFPI)」のサブチェアマンとしての見解であり、今後の米韓関係に大きな影響を与える可能性があります。
サンズ氏が警鐘を鳴らす李在明氏の外交姿勢
カーラ・サンズ氏は、今月18日に保守系ニュースサイト「デーリー・コーラー」にバート・マルコイス元米エネルギー省次官補代行と共同で投稿した記事の中で、李在明氏の外交姿勢について厳しい評価を下しました。サンズ氏は、李在明氏の「米中二股戦略は成功していない」と断言。そして、李氏が「権力を維持するため(中国などと協力し)抑圧の仕組みを作るのか、あるいは韓国国民の生活改善に向け努力するのか決断を下すべきだ」と強く促しました。この警告は、李氏が目指す政策の方向性が、米国の国益のみならず、最終的には韓国自身の安定と繁栄を損ねる可能性をはらんでいることを示唆しています。
「親米路線維持こそ繁栄の鍵」経済的リスクへの言及
サンズ氏は、もし李在明氏が中国・北朝鮮寄りの政策を今後も維持するならば、韓国は「米国の繁栄を横目で見ながら左翼的な政策に押しつぶされ経済の崩壊に直面するだろう」と具体的な経済的リスクを提示しました。彼女は、李在明氏に対し、ワシントン(米国)とソウル(韓国)の親密さを維持する政策を支持するよう強く主張。これは、米中対立が激化する国際情勢において、韓国が明確な親米路線を維持することこそが、経済的安定と繁栄への不可欠な道であるという米国の強いメッセージと解釈できます。
共に民主党・鄭清来代表との「極左」な関係性
サンズ氏は、2日に選出された与党・共に民主党の鄭清来(チョン・チョンレ)代表についても言及し、その「極左」的な過去を指摘しました。鄭代表は1989年に米国大使公邸に乱入し爆弾を爆発させた容疑で有罪判決を受け、懲役4年の実刑が宣告された経歴があります。また、それ以前にも北朝鮮の自力更生思想である主体思想を支持するビラを配布した容疑で逮捕されたこともあるとされています。サンズ氏は、鄭代表がオバマ政権時代にさえ入国を拒否されたほどの極左人物であり、2000年代前半に李在明氏と共に政治活動を行った経緯があると説明しました。
共に民主党の鄭清来(チョン・チョンレ)代表、李在明氏との関係性で注目
迫る韓米首脳会談:トランプ氏が提示する「選択」
25日に予定されている韓米首脳会談に関して、サンズ氏は、この会談で先月締結された大規模な貿易協定の詳細調整や韓米両軍の費用分担、そして中国の影響力に対抗する最善策の模索が行われると予測しています。彼女は、トランプ元大統領が首脳会談で両国の民間企業が強みを発揮できる未来ビジョンを提示するだろうと述べ、李在明氏と国会が韓米両国の親密な関係を維持する政策を支持すべきだと訴えました。サンズ氏は、トランプ氏が李在明氏に「絶好のチャンスを与えようとしている」と強調し、李在明氏が「今こそ選択すべきだ」と決断を促しました。同時に、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の拘禁や負傷、あるいはトランプ政権が任命したモース・タン元国務省国際刑事司法大使に対する韓国政府の対応を「ミス」と指摘し、トランプ氏がこれらの「ミス」に注目する可能性が高いと警告しました。
米国の親トランプ系シンクタンクの要人であるカーラ・サンズ氏の警告は、来るべきトランプ政権下での米韓関係の方向性、そして李在明氏に求められる選択の重さを浮き彫りにしています。韓国の政治指導者が米国との同盟をどのように位置づけ、米中間の綱引きの中でどのような外交戦略をとるのかは、朝鮮半島情勢のみならず、地域の安定にも大きな影響を与える重要な局面を迎えていると言えるでしょう。