人気を博した元力士・照強(本名:鈴木翔輝容疑者、30)が、偽造した駐車禁止除外指定車標章を行使した疑いで警視庁本所署に逮捕された。彼は警察の取り調べに対し、「偽造した標章をコピーして使っていました。すぐに運転できるので便利で楽だった」と供述し、容疑を認めているという。この衝撃的なニュースは、日本相撲界に新たな波紋を広げている。
偽造駐車標章の巧妙な手口と逮捕の経緯
鈴木翔輝容疑者(元・照強)の逮捕容疑は、昨年7月21日夜に東京都墨田区の自宅マンション前路上で発生した。自身の車を駐車する際、偽造した「駐車禁止除外指定車標章」をダッシュボードに置いていたとされる。翌日、近隣住民からの違法駐車の通報を受け、警察が調査を開始。その標章には、偽造防止のホログラムが欠如していることが判明した。
さらに詳細な調べにより、標章の名義が故人の男性であること、そして有効期限の日付が不正に書き換えられていることが発覚した。関係者によると、照強は自宅近くの駐車場を利用した形跡がなく、カラーコピーされた偽造標章を用いて常習的に違法駐車を繰り返していたとみられている。
護送車の後部座席でうつむく元力士・照強
小兵力士・照強の知られざる素顔:四股名の由来と度重なる「問題行動」
照強は兵庫県出身で、阪神・淡路大震災が発生した1995年1月17日生まれという背景を持つ。その四股名には、師匠が「強くなって被災地を照らしてほしい」という願いを込めたとされる。身長169cmという小柄な体格ながら、スピード感溢れる取り口で前頭三枚目まで駆け上がり、多くの相撲ファンを魅了した。
しかし、その一方で、現役時代から「怠け癖」が知られていた。関係者からは「話好きでお調子者」と評され、時には先輩力士から「おしゃべり禁止」として口にガムテープを貼られるほどのやんちゃな一面もあったという。
その怠け癖が公になったのは、2022年10月の出来事だ。照強は同年10月に群馬県桐生市で行われた巡業を「扁桃の腫れによる発熱」を理由に欠席。しかし、『週刊文春』(同年12月15日号)の報道により、彼は同時期に東京ビッグサイト(江東区)で開催された爬虫類イベントに参加していたことが明るみに出た。自宅でヘビやトカゲを飼うほどの爬虫類好きとして知られていた照強は、友人が出店していたイベントに姿を現し、共に写る画像がSNSに投稿されていた(後に削除)。この一件で日本相撲協会から厳重注意を受け、巡業直後の11月場所では15戦全敗という不本意な成績に終わっている。
犯罪ジャーナリストが警鐘:世間知らずが招いた代償
爬虫類イベントへの参加のために巡業をサボり、今回は偽造標章で違法駐車を繰り返した照強。師匠の願いが込められた四股名が泣くような行動の連続に、多くの人が失望を隠せないでいる。
大の相撲ファンであり、元神奈川県警刑事の犯罪ジャーナリスト・小川泰平氏は、今回の事件について警鐘を鳴らす。「今は駐車監視員が頻繁に見回りをしています。偽の標章を置いたからといって、違法駐車が見逃されると考えること自体が間違っている。しかも標章には個別の登録番号が明記されているので、偽造はすぐにバレます」と、偽造行為の安易さを指摘した。さらに、「相撲の世界だけで生きてきたためなのか、世間知らずと思われても仕方ないでしょう。身体の小ささをものともせず頑張っていた力士なので、残念でなりません」と、相撲界という特殊な環境が世間との認識のずれを生んだ可能性を示唆し、元力士の転落を惜しんだ。
8月20日に行われた送検では、照強は護送車の後部座席で終始うつむき、その表情からは憔悴の色がうかがえた。輝かしい力士人生の後に待っていたのは、自らの軽率な行動が招いた重い代償だった。