24時間テレビの真価:視聴者アンケートで浮き彫りになる「見る・見ない」の深層

毎年夏の風物詩として親しまれる、日本テレビ系列のチャリティー番組『24時間テレビ愛は地球を救う』が、今年も8月30日と31日に放送される予定です。1978年に始まり、今年で48回目を迎えるこの番組は、その存在意義やチャリティーとしての役割について、放送のたびに活発な議論が交わされてきました。世間の注目を集める一方で、視聴者はこの長寿番組に対してどのような感情を抱いているのでしょうか。

2024年「24時間テレビ」の放送日程(8月30日・31日)を示す日本テレビ公式サイトのビジュアル。チャリティー番組の評価と議論を象徴。2024年「24時間テレビ」の放送日程(8月30日・31日)を示す日本テレビ公式サイトのビジュアル。チャリティー番組の評価と議論を象徴。

7割超が「見ない」と回答:賛否両論を呼ぶチャリティー番組の現状

全国30代から60代の男女300人を対象としたアンケート調査により、『24時間テレビ』に対する視聴者の意識が明らかになりました。今年の放送を「見る」と回答したのは80人(26.67%)に留まり、「見ない」と答えた人は220人(73.33%)と、全体の7割を超える結果となっています。

番組を「見る」と回答した肯定派からは、長年の視聴習慣を理由に挙げる声が多数聞かれました。「年に1度なので、これを見ないと落ち着かない感じがします」(宮城県・女性・56歳)や、「毎年見ているから。もはやルーティンです」(北海道・女性・51歳)といった意見は、番組が視聴者の生活の一部となっていることを示しています。また、「生放送の番組は、どんなハプニングが起こるかわからないので見ていて楽しい」(東京都・男性・59歳)のように、エンターテインメントとしての期待を寄せる声や、「人の善意を感じることができる」(広島県・男性・61歳)といった、チャリティー番組ならではの“善意”や“感動”を求める層も一定数存在します。

一方で、「見ない」と回答した否定派の意見には、番組のマンネリ化感動の押し付けに対する批判が集中しています。「マンネリの極み。慈善の押し売り」(神奈川県・男性・63歳)や、「感動の押しつけのような演出が多く、好感が持てない」(神奈川県・男性・67歳)といった声が、否定的な意見の大部分を占めていました。

さらに、チャリティー番組という性質そのものに対する不信感も強く見られます。「日テレの年間の売り上げを左右するほどの莫大なお金が動く謎の偽善番組」(山口県・男性・53歳)という意見は、特に2023年に日本テレビ系列の日本海テレビの元局長が寄付金や会社の資金を着服していたと報じられた事件以降、寄付金の使途に対する疑念が深まっていることを示唆しています。「チャリティー番組がうさんくさい」(埼玉県・男性・63歳)や、「集まった募金が正しく使われていると思えないから」(大阪府・女性・55歳)といった声が多数寄せられており、透明性の確保が課題となっています。

また、番組の目玉企画であるマラソンについても、「どうして走らなくてはいけないの?」という疑問の声が毎年上がります。「マラソンをさせるのが不思議。別に24時間テレビをやらなくとも募金は集まると思う」(静岡県・男性・63歳)や、「この猛暑の中マラソンをする意図がわからない。もちろん感動もまったくしない」(広島県・男性・46歳)といった意見があり、企画の意義が問われています。

賛否両論の中での視聴率動向と今後の展望

こうした厳しい意見がある一方で、24時間テレビは依然として高い視聴率を記録する瞬間もあります。昨年の放送では、マラソンを完走したやす子のゴールシーンが瞬間最高視聴率25.4%を叩き出しました。今年のマラソンランナーは『SUPER EIGHT』の横山裕が務めますが、昨年同様に彼のゴールが最高視聴率を記録するのか、そして番組全体の視聴率がどうなるのかに注目が集まっています。

オワコン(終わったコンテンツ)と言われても、気がつくと見ています」(岩手県・女性・41歳)という声が示すように、24時間テレビは良くも悪くも、放送前から「見る・見ない」を含めて社会的な盛り上がりを生み出しています。賛否両論が渦巻く中で、この長寿チャリティー番組が日本の社会テレビ文化にどのような影響を与え続けるのか、その動向は引き続き注目されるでしょう。