半導体大手エヌビディアは、2030年までに時価総額9兆ドル(約1329兆4800億円)に達する可能性を秘めていると、メリウス・リサーチのアナリストが予測しています。この驚異的な成長の背景には、同社がAIインフラ市場の大部分を掌握する見込みがあることが挙げられます。世界経済においてAI技術の重要性が増す中、エヌビディアがどのようにこの巨大な市場を牽引し、その価値を飛躍的に高めるのか、詳細を見ていきましょう。
メリウス・リサーチのベン・ライツェス氏によると、エヌビディアがAIインフラ全体の需要を大きく取り込む態勢にあることが、この大胆な予測の主因です。同氏の試算では、エヌビディアの年間売上高は2030年末までに約6000億ドル(約88兆6320億円)に達する可能性があり、これが時価総額9兆ドルへの成長を強力に裏付けるとしています。
AI向け電力需要の爆発的増加が成長を後押し
ライツェス氏が長期投資家にとって最も重要視するのは「電力」の存在です。AIを稼働させるために必要な電力は今後も劇的に増加すると予測されており、これがエヌビディアの売上機会を拡大する主要な要素となります。
AI半導体市場を牽引するエヌビディアCEOジェンスン・フアン氏
マッキンゼーの数字を引用し、ライツェス氏は2030年までにAI向け電力需要が毎年30%ずつ増加し、最終的には156ギガワットという膨大な規模に達すると指摘しています。エヌビディア自身が投資家向けに示した試算によれば、AI向け電力需要1ギガワットごとに、同社は400億ドルから500億ドル(約5兆9088億円から7兆3860億円)の売上機会を得られるとされています。インフレなどの要因を考慮すると、2030年末にはこの売上見込みが最大600億ドル(約8兆8632億円)にまで増大する可能性もあります。もし電力需要が年率30%のペースで増え続けた場合、エヌビディアの年間売上見込みは2030年までに約2兆ドル(約295兆4400億円)に達する可能性さえあると、ライツェス氏は分析しています。
AIインフラ市場におけるエヌビディアの揺るぎない地位
エヌビディアがAIインフラ市場の大部分を獲得するという見方も、時価総額9兆ドル到達の鍵となります。ライツェス氏によると、エヌビディアは既にデータセンター企業や大規模クラウド事業者と提携し、AIインフラ市場での確固たる地位を築きつつあります。
これは、エヌビディアがAIを支える基盤技術を提供する企業として、AI構築において不可欠な役割を担うことを意味します。ライツェス氏は、エヌビディアがAIインフラ市場全体の30%のシェアを獲得すると仮定した場合、2030年末までに年間売上高が約6000億ドルに達すると試算しています。この年間売上高を基に、年間利益の15倍という倍率で企業価値を計算すると、エヌビディアの時価総額は9兆ドルに到達するというのが、メリウス・リサーチの結論です。
結論
メリウス・リサーチによるエヌビディアの時価総額9兆ドル到達予測は、AI技術の爆発的な進展と、それに伴う電力需要の増加、そしてエヌビディアがAIインフラ市場で築き上げてきた支配的な地位に基づいています。AIが社会のあらゆる側面に浸透するにつれて、その基盤を支えるエヌビディアの価値は今後も大きく高まる可能性を秘めており、世界のテクノロジーおよび金融市場において、その動向は引き続き注目されるでしょう。
参照元
- Business Insider Japan
- Yahoo!ニュース
- Melius Research
- McKinsey