トランプ大統領、49億ドルの対外援助予算撤回を表明:異例の「ポケット・レシジョン」行使へ

米国ワシントンD.C.で、ドナルド・トランプ米大統領が議会によって承認された49億ドル(約7,600億円)規模の対外援助予算を撤回する意向を表明し、国際社会に波紋を広げています。この動きは、米国の外交政策における大きな転換点となる可能性を秘めており、世界各国からの注目が集まっています。トランプ氏は、特定の国際援助プログラムへの資金提供を取り消す計画を明らかにし、その影響が懸念されています。

ワシントンの連邦議会議事堂。米大統領の対外援助予算撤回方針が議論される場。ワシントンの連邦議会議事堂。米大統領の対外援助予算撤回方針が議論される場。

撤回の背景と詳細

トランプ大統領は28日にオンラインで公開された書簡を通じて、ジョンソン下院議長に対し、15の国際援助プログラムに対する予算を取り消す方針を通知しました。これらのプログラムは、開発途上国への対外援助、国連平和維持活動(PKO)への貢献、そして他国における民主主義促進活動など、幅広い分野に充てられる予定でした。大統領が議会が承認した予算を覆す手段として行使される「ポケット・レシジョン(pocket rescission)」は、ホワイトハウスによると1977年以来、実に半世紀近くぶりの異例の措置となります。これは、大統領が議会の決定を最終的に拒否し、資金の支出を停止する権限を持つことを意味し、その影響力の大きさが浮き彫りになります。

各方面からの反応と懸念

このトランプ大統領の決定に対し、米国議会からはすでに批判の声が上がっています。上院歳出委員会の委員長を務める共和党のコリンズ議員は、この予算撤回を「違法」であると厳しく非難しました。与党内からも異論が出るなど、大統領の行動が政治的な対立を引き起こす可能性が示唆されています。

一方、国際社会、特に国連からは深刻な懸念が表明されています。国連のデュジャリック報道官は、トランプ大統領の決定が国連の予算や流動性を巡る状況を「さらに困難にするだろう」との見解を示し、米当局から詳細な情報を得る方針であることを明らかにしました。米国は国連にとって最大の拠出国であり、その資金が削減されれば、国連が遂行している人道支援、平和維持、開発促進といった重要な活動に直接的な打撃を与えることになります。

今回のトランプ大統領による対外援助予算の撤回表明は、米国の外交政策、国際関係、そしてグローバルな協力体制に長期的な影響を及ぼす可能性があります。今後の動向が国際社会全体で注視されています。

参考文献