2025年7月、韓国軍の輸送機が日本の防空識別圏(ADIZ)に無断で進入し、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進する事態が発生しました。この問題を受けて韓国国防省は、調査の結果、指揮系統に問題があったとして関係者10人余りを処分したと発表し、国際的な航空安全プロトコルの重要性を改めて浮き彫りにしています。
事案の経緯:韓国軍輸送機の防空識別圏進入
問題の韓国空軍輸送機は、2025年7月に訓練のためグアムへ向かう途中でした。悪天候、特に雷雨を避けるために予定ルートを変更し迂回飛行を行ったところ、燃料が不足する事態に直面しました。これを受け、沖縄県にあるアメリカ軍嘉手納基地への緊急着陸を余儀なくされました。この緊急着陸自体は安全確保のための措置でしたが、その過程で日本側の承認を得ないまま日本の防空識別圏に進入したことが、日本の警戒態勢を誘発する結果となりました。この突発的な事態に対し、自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)し、状況確認にあたるという緊張が走りました。
防空識別圏侵入問題に関連する韓国軍輸送機のイメージ
韓国国防省の調査と処分発表
事態を重く見た韓国国防省は、直ちに経緯の調査を開始しました。そして31日、この問題に関する調査結果を公表し、輸送機の運用における指揮系統に明確な問題があったことを認めました。その結果として、関係者10人余りに対する処分を行ったと明らかにしています。韓国メディアの報道によれば、当時輸送機のパイロットは、事故を未然に防ぐための「予防着陸」を行うことを日本側に通告しようと試みたものの、その情報が適切に伝わらず、結果的に日本側の承認がないまま防空識別圏への進入に至ったと伝えられています。
まとめ
今回の韓国軍輸送機による防空識別圏侵入問題と、それに続く韓国国防省による関係者処分は、軍用機の運用における国際的なプロトコル順守と、有事の際の緊密な情報共有の重要性を改めて示唆するものです。特に、航空路上の緊急事態においては、関係各国間の迅速かつ正確なコミュニケーションが、偶発的な衝突や誤解を防ぐ上で不可欠であることを浮き彫りにしました。今後、同様の事態を避けるための再発防止策と、日韓両国間の信頼構築に向けた取り組みが求められます。
参考資料
- FNNプライムオンライン (ニュース記事:https://news.yahoo.co.jp/articles/ac4cb7c8fcc4682f296c37c999f9a66e1124030b)