サウジ海軍士官、仏でレイプ罪に禁錮10年判決 – 国際協力協定下の「文化摩擦」と逃亡の行方

フランスの裁判所は5日、サウジアラビア海軍士官メシャリ・アル・シャムラニ被告に対し、2021年にフランスで女性を性的暴行した罪で禁錮10年の判決を言い渡しました。国際的な協力協定のもとでフランスに滞在していた被告は現在も逃亡中で、この事件は国際的な注目を集めています。

事件の概要と被告の背景

本件の被告であるアル・シャムラニ氏は、事件当時24歳で、サウジアラビアとフランスの軍事協力協定の一環として、フランス西部のブレストにある工科大学に留学していました。検察によると、大学では「才能豊かで規律正しい」学生として知られていましたが、私生活においては「それまで知らなかった自由と道徳的な寛容さ」に触れ、「カルチャーショック」を受けていたとされています。彼は2020年にサウジアラビアで結婚していましたが、ブレストでは愛人を作り、自宅で頻繁にパーティーを開催し、多量の飲酒を繰り返していました。捜査期間中、被告は司法の監督下で保釈されていましたが、今年1月に警察への出頭を拒否し、裁判も欠席したまま逃亡しています。

サウジアラビア海軍士官の仏でのレイプ事件に関連するサウジ国旗。国際協力協定下での犯罪と司法の動向。サウジアラビア海軍士官の仏でのレイプ事件に関連するサウジ国旗。国際協力協定下での犯罪と司法の動向。

性的暴行事件の経緯と証拠

ある夜のパーティーの後、帰宅手段がなかった22歳の女性がアル・シャムラニ被告の家に泊まることになりました。その夜、被告は女性が寝ている間に性的暴行を加えました。女性は目を覚まして抵抗し、そこから逃げ出してすぐに警察に通報しました。検察は「被告は女性の同意を全く求めていなかった」と主張し、禁錮8年を求刑。DNA鑑定と婦人科検査の結果は、女性が法廷で証言した内容と完全に一致し、性的暴行の事実を裏付ける強力な証拠となりました。アル・シャムラニ被告は当初容疑を否認していましたが、後の警察の取り調べで、女性がズボンを脱いだため「性行為をしたがっていると思った」と供述し、行為自体は認めました。

被害者の苦しみと今後の捜査

この事件は被害女性に深刻な精神的苦痛を与えています。彼女は「私はひどく落ち込み、ずっと泣いていた。外出する気にもなれなかった」と法廷でその苦しみを語りました。フランス当局はアル・シャムラニ被告に対し欧州逮捕状を発行し、その行方を追っていますが、現時点では身柄の確保には至っていません。この事件は、国際交流の場における性的同意の重要性や、異なる文化背景を持つ人々が共存する上での倫理的課題を浮き彫りにしています。

今回の判決は、被疑者が逃亡中であるにもかかわらず、フランスの司法が事件の解明と正義の実現に向けて強い姿勢を示したものです。国際的な法的連携を通じて、逃亡犯の早期逮捕と、被害者の更なる回復が望まれます。

参考文献