悠仁さま、成年皇族としての新たな一歩へ――「加冠の儀」など主要儀式と今後の展望

秋篠宮ご夫妻の長男、悠仁さまは2025年9月6日、19歳の誕生日を迎えられ、成年皇族としての務めを開始する「成年式」に臨まれます。昨年成人を迎えられていましたが、大学受験を控えていたため、式典が延期されていました。この日は朝から一連の儀式や行事が続き、皇室にとって重要な節目となります。

成年式、主な儀式と伝統

悠仁さまの成年式は、古くから続く元服(げんぷく)を由来とする皇室の慣例に基づき、様々な儀式によって構成されます。主要な儀式の一つが、皇居・宮殿で行われる「加冠の儀」です。この儀式では、天皇皇后両陛下や秋篠宮ご夫妻が見守る中、天皇陛下から授与された成年用の冠を着用されます。三権の長らも参列し、その歴史的瞬間に立ち会います。

さらに、私的な儀式として、皇室の祭祀の場である皇居・宮中三殿で歴代の天皇や皇族の御霊に報告する「賢所皇霊殿神殿に謁するの儀」も執り行われます。これは、成年皇族として先祖への敬意を表し、新たな門出を報告する重要な儀式です。

同日午後には、天皇陛下から最高位の勲章である「大勲位菊花大綬章(だいくんい きっか だいじゅしょう)」が授与されます。これは、成年皇族として国に尽くす責務を象徴するもので、その重みが感じられます。

夜には、秋篠宮ご夫妻が主催する祝宴が帝国ホテルで開かれます。両陛下、上皇ご夫妻を含む皇室の方々、元皇族ら親族、計約30名が出席する予定です。しかし、米国在住の長女、小室眞子さんと夫の圭さんは、お子さんが幼く遠方での生活であることから欠席されます。宮内庁は、小室夫妻が辞退したと説明しています。

皇室の成年式は、秋篠宮さまが成人された1985年11月以来、約40年ぶりの開催となり、戦後の男性皇族の前例をほぼ踏襲した内容で行われます。

成年式を控える悠仁さま、学業に励む日常の一コマ成年式を控える悠仁さま、学業に励む日常の一コマ

儀式を彩る装束と費用

儀式の一部で、悠仁さまは平安時代からの伝統を踏まえた古式装束に身を包まれます。成年用の冠は約260万円を要し、宮内庁予算の「宮廷費」から支出されました。一方、その他の装束や祝宴にかかる費用は、秋篠宮家の私的な生活費にあたる「皇族費」が充てられますが、その支出額は宮内庁によって公表されていません。皇族費は、公的な活動や私的な生活を営むための費用として、皇族に支給されるものです。

成年式後も続く公務:伊勢神宮参拝から昼食会まで

成年式に関連する行事は、9月6日だけにとどまりません。8日には伊勢神宮(三重県伊勢市)と皇室が初代天皇とする神武天皇の陵(奈良県橿原市)を参拝されます。翌9日には昭和天皇陵(東京都八王子市)を参拝し、先祖への敬意を示されます。

そして10日には、明治記念館(東京都港区)で三権の長らを招いた昼食会が開催されます。この昼食会は公的行事として秋篠宮ご夫妻が主催され、悠仁さまが幼少期から通われたお茶の水女子大学の付属校関係者や、現在在学中の筑波大学の関係者を含む約40名が出席する予定です。

昭和に開かれた成年式当時、昭和天皇の孫にあたる今上天皇陛下や秋篠宮さまの昼食会は皇居・宮殿で開催されましたが、今回は民間施設が使われます。宮内庁は、「宮殿は天皇の諸行事が行われる場所であり、宮家主催の行事を宮殿で開催するのは適切でない」と説明しています。この変更は、皇室のあり方や公私の区別に関する現代的な配慮を反映していると言えるでしょう。

悠仁さま成年式 主要スケジュール

  • 9月6日(土)
    • 午前8時45分:冠を賜うの儀(秋篠宮邸)
    • 午前10時:加冠の儀(皇居・宮殿「春秋の間」)
    • 午前11時半:賢所皇霊殿神殿に謁するの儀(皇居・宮中三殿)
    • 午後2時:朝見の儀(皇居・宮殿「松の間」)
    • 午後2時半:勲章の授与式(皇居・宮殿の表御座所)
    • 午後3時:宮内庁長官らによる祝賀(皇居・宮殿「千草・千鳥の間」)
    • 午後3時45分:上皇ご夫妻へあいさつ(仙洞御所)
    • 午後6時半:親族を招いた祝宴(帝国ホテル)
  • 9月8日(月)
    • 午前:伊勢神宮参拝(三重県伊勢市)
    • 午後:神武天皇陵参拝(奈良県橿原市)
  • 9月9日(火)
    • 午前:昭和天皇陵参拝(東京都八王子市)
  • 9月10日(水)
    • 正午:三権の長らを招いた昼食会(明治記念館)

結びに

悠仁さまの成年式は、単なる通過儀礼以上の意味を持ちます。皇室の伝統と歴史を受け継ぎながら、将来の天皇陛下として、国民の期待を背負い、新たな時代を歩み始める重要な第一歩となるでしょう。この一連の儀式を通じて、悠仁さまが成年皇族としての自覚を深め、公務への理解をさらに深められることが期待されます。

参考文献