石破首相、参院選公約に「国民一律給付金」指示 波紋広がる

石破茂首相は13日、物価高対策の一環として国民1人当たり一律2万円の給付を夏の参院選公約に盛り込むよう自民党に指示した。この唐突な方針に対し、SNS上では国会議員、知事、著名人などから「選挙対策のバラマキだ」「自治体の事務負担が大きい」といった批判的な意見が相次いでいる。

石破茂首相。参院選公約に向けた国民一律給付金指示のニュースについて石破茂首相。参院選公約に向けた国民一律給付金指示のニュースについて

閣僚経験者・野党からの批判

国民民主党の玉木雄一郎代表は、石破首相の発言に強い矛盾があるとして批判した。わずか2日前の党首討論で「単年度であっても税収の上振れを国民に還元するような財政状況にはない」と述べたにもかかわらず、都議会議員選挙の告示日に給付金発表を行ったことを指摘。「失礼な言い方だが、嘘つきだ」と断じ、「税収の上振れは『財源』ではないと言いながら、自分たちの選挙対策のためには、いきなり税収の上振れが『財源』になる。ご都合主義が過ぎるのではないか」と訴えた。さらに、上振れた税収は納税者に減税で戻すのが筋であり、選挙対策に使うべきではないと主張。党首討論での議論の信頼性が損なわれたと憤り、「税金で票を買うようなことを許すな」と訴えた。

立憲民主党の小沢一郎衆院議員は、今回の政策を「一票2万円で」「小泉コメ劇場を楽しんで、消費税減税のことなどさっさと忘れるように」仕向けるものだと指摘。「この令和の時代に『パンと見世物』」であり、政治が「まやかし」になっていると批判し、「自民党は末期。自民党に鉄槌を」と記した。さらに、「パンと見世物」をローマ帝国で皇帝が市民を政治から目を逸らさせるために使った手段になぞらえ、令和版では「パンの代わりに二万円」、主役は小泉大臣、悪役は農林族、しかも全部八百長だと皮肉った。国民がこれに騙されたら国は滅亡すると強い語調で警鐘を鳴らした。

鳩山由紀夫元首相は、参議院選挙の公約として国民全員に給付金を配る方針は「何故国民全員に配るのか。あからさまに票を金で買おうと言うことだ」と指摘。「そして金で裏金問題を忘れさせようと言うのか。それは無理だ。日本人を馬鹿にしてはいけない」と厳しく批判した。

地方自治体首長の懸念

千葉県の熊谷俊人知事は、政府が現金給付を検討するたびに実施は全国の市町村公務員が担うことへの不満をあらわにした。「どうせ今後も選挙の度に現金給付するんだから、国で一元的に給付作業をする効率的な仕組みを作りましょう」と提案しても自治体任せだと訴え、「全市町村の職員が説明会に駆り出され、『いついつまでに給付しろ』と言われて、全く同じ作業をそれぞれの自治体がバラバラに行い、バラバラに業者に発注し、本来の市民福祉等に充てるべき職員稼働と、国民の税金が膨大に奪われます」と自治体の疲弊を明かした。マイナポータルの公金受取口座利用に関する提案についても、登録者以外への給付作業で手間が増えるだけだと反論した経験を語り、なぜもっと合理的・効率的な仕組みを作らないのか、自身のお金や作業であれば真剣に考えるはずだと疑問を呈した。「国を批判したいわけではなく、何度も繰り返す、この無駄で、自治体を疲弊させる話にうんざりしています」と述べた。

大阪府の吉村洋文知事も、「全国民に2万円配る事務は、自治体がやる。自治体に人件費も労力もかかる。必要な財源は、国民一人2万円+経費。それなら最初から取らなければいい」と指摘。給料天引きされる社会保険料を下げた方が良いと提案し、「社会保険料は今後も右肩上がりで上がっていく。国は人口減少化の社会保障制度を真剣に考えてもらいたい」と訴え、根本的な社会保障改革の必要性を強調した。

その他著名人の見解

幻冬舎の編集者、箕輪厚介氏は、有権者にお茶やお菓子を配るだけで公職選挙法に触れる買収行為と見なされるにもかかわらず、自民党が選挙のために税金をばら撒き、国民を買収しても問題にならないのか、と私見を示し、法の不均衡を問いかけた。

元「青汁王子」こと実業家の三崎優太氏は、「やりたい放題の重税、外国人へ金をばら撒き、裏金汚職のオンパレード、それなのに急に国民負担を減らすために2万円を配ります?こんなの選挙前の票集めでしかないだろーが」と激しく糾弾した。そして、その給付金も結局は税金で回収されるものだと指摘し、「ふざけるのもいい加減にしろ」と政府の方針を非難した。

ロックバンド「BOOWY」のドラマー、高橋まことは、給付金政策を「舐め切ってますな!!」と一蹴。「自分達は裏金!!官房機密費でウハウハ!!」である一方、給付金は「4万円ったって1日にしたらたかだか109円!!」にしかならないと、その金額の少なさを皮肉った。時給換算で50万円出すべきだと主張し、今回の給付は「自民党の選挙前パフォーマンス!!!?」であり、「コロナで苦しんでる時ほとんどほったらかしにしてやがった」のに、政権与党として可能な時にやらなかったことを指摘。「票欲しさの餌かよ!?国民舐めるのも大概にせいよ!!。誰が入れるか!!」と憤りをぶつけた。

参考文献

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