関西テレビの長寿番組『マルコポロリ!』が900回放送と20年目を迎える理由

関西テレビが誇る人気バラエティ番組『マルコポロリ!』が、2025年4月に放送開始から20年目を迎え、同年9月7日には記念すべき900回放送を達成しました。MC東野幸治が率いるこの番組は、カンテレ屈指の「ご長寿番組」として、日曜の昼に視聴者に親しまれ続けています。なぜ『マルコポロリ!』はこれほど長く愛され、支持され続けているのでしょうか。その秘密は、番組の独自性と時代の変化への適応力にあります。

20年間変わらぬ「芸人の素顔」を引き出す独自スタイル

『マルコポロリ!』が長年にわたり人気を維持している最大の理由は、MCの東野幸治をはじめとするレギュラー出演者、ほんこん、山崎邦正、メッセンジャーあいはららが、ゲストとして登場するお笑い芸人たちの「作為」、つまり事前に用意された演出やキャラクターを一切受け付けない点にあります。番組の正式タイトルは『お笑いワイドショー マルコポロリ!』で、元々は芸能リポーターに扮した芸人たちが話題のニュースを取材し、ワイドショー形式で楽しむ内容でした。特に名物企画として知られていたのが「ポロリバス」で、著名人を特製車両に乗せ、移動中に普段聞けない「マル秘情報」を引き出すというものでした。

カンテレ長寿番組マルコポロリの900回記念放送スタジオ風景カンテレ長寿番組マルコポロリの900回記念放送スタジオ風景

コロナ禍を経て進化する「人間性」追求の場へ

しかし、コロナ禍をきっかけに番組は大きな転換期を迎えます。プロモーションを目的としたゲスト出演が難しくなったことを受け、番組は現在の「お笑い」と「スタジオトーク」に特化した形式へとシフトしました。この変化は、番組が追求してきた「素顔を引き出す」という核心的な部分をさらに深化させる結果となりました。スタジオでは、東野幸治が持つ「白い悪魔」の異名にふさわしく、レギュラー陣から愛のある「いじり」がゲスト芸人に浴びせられます。さらに、番組側が制作する「悪意しかない」と称されるようなVTRや写真が披露されることもあり、ゲストは窮地に追い込まれる中で、自らの「人間性」や「本音」をさらけ出すことになります。

900回放送を記念した取材会で、レギュラー陣以外で最多出演を誇るお笑い芸人・永野は、「賞レースで結果を残さないとテレビ番組に出演できない状況の中、『人柄で出られるのは『マルコポロリ!』しかない』」と語り、この番組のユニークな特性を見事に表現しました。芸人にとって笑いを取るための事前準備は当然ですが、東野らはそうした「用意されたもの」には興味を示さず、追い込まれた状況でこそ表れる「真の人間性」を好むのです。

永野が語る、本音で挑むからこその「フィット感」

永野自身も、『マルコポロリ!』に「フィットした感覚」を得たのは、お見送り芸人しんいちとの共演回(2023年4月23日放送)だったと振り返っています。この回は、『水曜日のダウンタウン』(TBS)の企画をきっかけに確執が生まれた二人が共演したことで注目を集めました。永野は「しんいちと出た回は、本音でいくしかない状況に追い込まれていたからハマった感じがしました。用意したものがなかったから、ハマったんじゃないかな」と語り、飾らない「素の自分」で臨むことこそが、この番組で輝く秘訣であることを示唆しました。

『マルコポロリ!』は、時代とともにその形式を変えながらも、「芸人の素顔や人間性を引き出す」という一貫した哲学を貫き通してきました。MC東野幸治とレギュラー陣の鋭い視点と愛のあるいじりが、ゲスト芸人の予期せぬ魅力を引き出し、視聴者に新鮮な驚きと笑いを提供し続けているのです。この独自のスタイルこそが、900回放送、そして20年という長きにわたる番組の成功を支える根幹にあると言えるでしょう。

参考文献