アメリカの政界で、ジョン・ケネディ連邦上院議員(共和党)による輸入エビに関する驚きの発言が大きな物議を醸しています。彼は、「輸入エビを食べると『エイリアン』のようになる」という非科学的な主張を展開し、SNS上でも批判の声が上がっています。この発言は、インドネシア産エビから検出された放射性物質セシウム137を巡る問題に端を発しています。
問題の発端:セシウム137検出のインドネシア産エビ
事の発端は、米食品医薬品局(FDA)が8月に発表した輸入エビのリコールでした。インドネシアの企業BMSフーズが加工したエビから、ごく微量の放射性物質「セシウム137」が検出されたためです。FDAは、検出されたセシウム137の値が同局の介入指標値を大きく下回っており、「深刻な危険をもたらすことはない」と公式に発表しています。しかし、長期的な低線量の被ばくによる潜在的な健康リスクを減らす目的で、消費者や小売業者に対して製品の廃棄を呼びかけました。この措置は、あくまで予防的な観点から行われたもので、即座の健康被害を意味するものではありませんでした。
上院本会議場での「エイリアン」発言とその内容
このセシウム137検出問題に対し、ケネディ議員は9月3日、上院本会議場で異例の行動に出ました。彼は1979年のSF映画『エイリアン』の画像を持ち込み、聴衆に示しながら、「議長、これは外国からアメリカに輸出される冷凍の生エビを食べたらこうなってしまうかもしれない、ということを意味しています」と発言したのです。
上院本会議場で映画『エイリアン』の画像を背に発言するジョン・ケネディ上院議員。輸入エビと放射性物質に関する彼の非科学的な主張は物議を醸した。
さらに、ケネディ議員はエイリアンの画像の前で、「エビを食べたら、なぜ『エイリアン』に出てくるエイリアンのようになってしまうのか?それはエビに放射能が含まれているからです」と持論を展開。「外国のエビは、アメリカの基準に従っていないから食べたら『エイリアン』になってしまうかもしれない。少なくとも、耳がもう一つ生えてくるかもしれない」とまで言い放ちました。彼の発言の根底には、輸入食品の安全性に対する懸念と、アメリカの国内基準を遵守しない外国製品への批判があるようですが、その表現方法は極めて挑発的でした。
科学的根拠の欠如とSNSでの批判
「セシウム137が検出されたエビを食べるとエイリアンになる」「耳が生える」というケネディ議員の主張は、放射線生物学や医学の観点から見て、全く根拠のない非科学的なものです。FDAが「深刻な危険をもたらすことはない」と明言している事実と大きく矛盾します。彼の奇妙な発言に対し、SNS上では「アメリカの恥だ」「科学に基づかない発言は無責任」といった批判の声が多数投稿され、広範な議論を巻き起こしています。この種の非科学的な考えや政策は、過去にもトランプ政権下で、ケネディ保健福祉長官がmRNAワクチンへの助成金を打ち切るなどの問題行動を引き起こしており、同様の傾向が指摘されています。政治家による発言の科学的正確性は、特に公衆衛生や食品安全に関わる問題において、極めて重要であると言えるでしょう。
この一連の出来事は、政治的メッセージを伝える際に科学的根拠が軽視されがちな現状と、それに対する社会の厳しい目を浮き彫りにしています。