『呪術廻戦』(集英社)の作者である芥見下々先生による短期連載作品として、そのタイトルのみが先行公開されていた『呪術廻戦≡(以下、モジュロ)』。作画は『暗号学園のいろは』で知られる岩崎優次先生が担当しています。「週刊少年ジャンプ 2025年41号」(9月8日発売)にて待望の第1話が掲載されると、『モジュロ』が『呪術廻戦』のスピンオフであることが正式に明らかになりました。
この新シリーズ最大の注目点は、主人公が乙骨憂太と禪院真希の孫にあたる兄妹、乙骨真剣(つるぎ)と乙骨憂花(ゆうか)であることです。本稿では、『モジュロ』の舞台設定と登場人物の情報を基に、本編『呪術廻戦』の人気キャラクターたちがどのような形で『モジュロ』の世界に関わってくるのか、その可能性を深掘りし予想します。
「呪術廻戦≡(モジュロ)」乙骨憂太と禪院真希の孫が登場!新時代の呪術師たち
『モジュロ』の物語は、2018年に始まった「死滅回游」から68年後の世界が舞台です。この時間軸を考慮すると、当時呪術高専の学生であった虎杖悠仁たちの世代は、現在80歳前後になっていると推測できます。もちろん、老齢の虎杖たちがそのまま登場する可能性もゼロではありませんが、乙骨憂太が既に亡くなっていることを考えると、当時の主要キャラクター全員が存命のまま再登場するのは考えにくいでしょう。しかし、乙骨真剣と乙骨憂花の存在が示唆するように、虎杖たちの子孫が登場する可能性は十分にあります。『モジュロ』では、虎杖の子どもや孫が物語に加わることはあるのでしょうか。もし虎杖の子孫が登場するとなれば、乙骨のように、彼もまた誰かと結ばれ家庭を築いた様子が描かれるかもしれません。
『呪術廻戦≡(モジュロ)』の主人公、乙骨真剣と乙骨憂花の岩崎優次による描き下ろしイラスト
虎杖悠仁と小沢優子の「その後」は?仄めかされた関係の行方
虎杖悠仁といえば、中学時代の同級生である小沢優子との関係がこれまで度々描かれてきました。彼女が初登場した第64話「そういうこと」では、小沢が虎杖に連絡先を尋ねたがる様子など、釘崎野薔薇曰く「そういうこと」な感情を抱いていることが示唆されました。しかし、当の虎杖は小沢を他の友人と同じように平等に見ていると描かれていました。
転換点となったのは、単行本最終巻・30巻に収録されたエピローグです。そこでは、雪降る東北の地で、虎杖と小沢が二人の地元である仙台で再会する様子が描かれています。このシーンは、釘崎の言葉を借りれば「大人の階段の前に立った」瞬間であり、虎杖と小沢の関係が新たな段階へと進む可能性を強く示唆するものでした。果たして、『モジュロ』で彼らの関係の結末が明かされることはあるのでしょうか。
伏黒恵と来栖華の関係進展は?宿儺戦後の誓いの意味
本編では、虎杖と並び、伏黒恵と来栖華の間にも関係の進展を匂わせる描写が見られました。幼い頃に出会っていた二人ですが、来栖は伏黒に深い恩を感じていました。死滅回游で来栖が伏黒を救った際、来栖に受肉していた「天使」が「まず君を助けた理由だが/華(来栖)は君を以前ーー」と口走ろうとし、来栖が慌てて誤魔化す姿も印象的でした。
宿儺との決戦を終えた後、伏黒が「責任は取る/これからは俺が来栖の右腕になるよ」と告げると、来栖は顔を赤らめながら「式はいつにしますか?」と返しました。その場では伏黒が「そういう意味では/なく/任務が/あるので/あとで/話そう」とどもりながら返答していましたが、このやり取りは二人の未来に対する期待感を抱かせます。『モジュロ』で伏黒と来栖の「その後」が具体的に描かれるのかどうか、ファンならずとも気になるところです。
謎多き一級術師・宇佐美の正体と血縁の繋がり
ちなみに、『モジュロ』では「宇佐美」という名前が頻繁に登場しているようです。これはおそらく、本編で描かれた一級術師・宇佐美に関連する人物を指していると考えられます。
宿儺との決戦時の回想シーンで、日下部篤也が「最強の一級術師は誰?」という問いに対し、「俺と宇佐美以外の誰か」と答える形で突如その名が挙がった謎の一級術師・宇佐美。単行本28巻のおまけイラストでは、五条悟に「僕あの人キラーイ」と言われたり、冥冥に「……覚えなくていいよ」と言われたりするなど、本編が幕を下ろすまで多くの謎に包まれた人物でした。しかし、宇佐美の容姿は28巻でしっかりと描かれており、日下部によると「宇佐美は上の命令しか聞かねぇし/言われたことしかやんねぇからアイツら(五条・冥冥)と相性が悪い」とのことです。呪術高専内の人物の中でも異質な存在であった宇佐美の人物像が、『モジュロ』において子孫の登場、あるいは本人自身の登場によって明らかになるのか、その動向に注目が集まります。
『呪術廻戦』が再び廻り始める
虎杖や伏黒の子孫、あるいは謎多き一級術師・宇佐美の人物像。そして、彼ら以外の本編登場人物たちが『モジュロ』の物語にどのように絡んでくるのか。乙骨真剣・憂花の兄妹が織りなす新たな物語とともに、その展開に注目したいところです。
特に、乙骨真剣と憂花の物語には、彼らの祖父である乙骨憂太が遺した指輪が強く関与していくことでしょう。『呪術廻戦』本編では、虎杖悠仁が祖父の遺言を受け継ぎ、苦悩しながらも強くあろうとする姿が描かれました。呪いだけでなく、遺言や遺品に込められた想いもまた、子へと、そして孫へと受け継がれていくものです。『東京都立呪術高等専門学校』から始まった物語が、再び新たな形で廻り始める。新時代の呪術師たちが、祖先の遺志を胸にどのような運命を辿るのか、期待が高まります。
参考文献