NHK連続テレビ小説「あんぱん」第24週(8日放送、第116回)で、漫画家・柳井嵩(北村匠海)が自身の描くアンパンマンについて語った深い言葉が、多くの視聴者の心に響き渡り、感動の輪が広がっています。特に、正義を行うことの真の意味を問うそのセリフは、作品のテーマ性を象徴するものとして注目されています。
「おじさんアンパンマン」に込められた正義の覚悟
物語は「あんぱんまん誕生」と題された第24週。柳井嵩が描いた「おじさんアンパンマン」の物語を妻のぶ(今田美桜)に見せる場面から、感動的な対話が繰り広げられました。のぶは「私やっぱりこのおんちゃんが好き」「ちっとも格好良くないけどね」「そこがえい。見てもいい?」と、素朴ながらも愛情のこもった言葉で夫の創作に寄り添います。
嵩は、アンパンマンが空腹の人々にパンを届けるため戦場を飛び続ける姿を描写します。しかし、「でも、撃ち落とされてしまう」という衝撃的な展開に、のぶは「え?」と驚きを隠せません。それに対し、嵩は静かにこう続けます。「大丈夫。決して死にはしないから。お腹をすかせた子どもたちのために、今もアンパンマンは空を飛び続けてる」。
のぶが「ええことしゆうに、なんで撃ち落とされてしまうが?」と疑問を投げかけると、嵩は深く、そして重みのある言葉で答えます。「それは、正義を行うということは自分も傷つくことを覚悟しなきゃいけない。僕はそう思うんだ」。このセリフは、ただのヒーロー物語ではない、アンパンマンというキャラクターに込められた作者の強いメッセージと哲学を浮き彫りにしました。
朝ドラ「あんぱん」で柳井嵩(北村匠海)が描く「おじさんアンパンマン」のイラスト
視聴者の心を揺さぶる深いメッセージと共感の声
番組公式インスタグラムが、嵩が描いた「おじさんアンパンマン」の絵と共にこの言葉を改めて紹介すると、SNS上では多くの視聴者から熱い反響が寄せられました。その多くは、アンパンマンの行動の根底にある「自己犠牲」や「利他」の精神、そして「正義の代償」というテーマへの深い共感を示すものでした。
「深いなあ嵩さん」「やっと分かりました。アンパンマンが、困っている人やお腹が空いている人に顔をかじってもらう意味が。正義を行なうということは、利他の精神とか自己犠牲の覚悟が必要ということなんですね」「アンパンマン育ちですが大人になってもアンパンマン大好きやしこのおじさんアンパンマンも温かい絵で大好きです」「自分が傷つきながら正義を行うヒーローは、カッコ悪くてもカッコいいです」「なんかすごいセリフだ!成し得ることは痛みをともなうって事なんだね〜」といったコメントが相次ぎ、子ども向けアニメーションとして親しまれるアンパンマンが持つ、普遍的なメッセージが再認識されました。
柳井嵩の言葉は、単にドラマの一幕としてだけでなく、現代社会において「正義とは何か」「ヒーローとはどうあるべきか」という問いを私たちに投げかけ、深く考えさせるきっかけを与えています。このエピソードは、「あんぱん」が描くアンパンマンの誕生秘話に、より一層の深みと感動をもたらしました。
参考文献:
- Yahoo!ニュース. (2025年9月9日). 「私やっぱりこのおんちゃんが好き」NHK朝ドラ「あんぱん」柳井嵩が語ったアンパンマンの言葉に感動の声. 西日本スポーツ. https://news.yahoo.co.jp/articles/69b1e593bab632a89a92b9a265c9d19c37ce71c1