物価対策などを盛り込んだ補正予算案の成立を受け、高市早苗首相は年内の衆院解散を見送る意向を表明しました。首相は「目の前でやらなきゃいけないことが山ほど控えているので、考えている暇がない」と述べ、2026年に向けた具体的な政権運営と外交戦略に注力する姿勢を示しています。支持率を背景に、高市首相がどのような「野望」を抱き、長期政権の基盤を築こうとしているのか、その動向に注目が集まります。
早期解散見送り、長期政権への布石
与野党間で高まっていた「支持率が高いうちに解散・総選挙に打って出るのではないか」との警戒感は、高市首相の表明によって一気に弱まりました。政権側近は、現在の状況で総選挙を実施しても参議院での過半数割れは変わらないため、首相は一か八かの早期解散よりも、高い支持率を背景に国民民主党などの野党を取り込み、実質的な与党化を図りながら政策で実績を積む道を選んだと分析しています。これにより、自民党が衆参で過半数割れの状態であっても、長期政権に向けた安定した基盤を構築しようとしていると見られます。
高市早苗・首相の野望と2026年の活動(時事通信フォト)
2026年外交日程と高市首相の戦略
2026年は年初から高市首相の外交日程が立て込んでおり、日本が国際社会で存在感を示す重要な機会となるでしょう。
ダボス会議と日米首脳会談の可能性
1月19日からは、スイスのダボスで各国政府、企業、市民活動のリーダーが集う「ダボス会議」(世界経済フォーラム)が開催されます。この記事ではトランプ大統領の出席も予定されていることに触れられています。中国との関係悪化に直面する高市首相は、早期の日米首脳会談に意欲を示しており、ダボスでの実現の可能性も指摘されています。日米間の連携強化は、国際情勢が不安定な中で日本の安全保障上、極めて重要です。
イタリアとの連携強化:女性首脳外交と安全保障
ダボス会議と前後して、イタリアのメローニ首相の来日が調整されています。高市首相は2025年11月のG20サミット(南アフリカ開催)でメローニ首相とハグを交わしており、女性首脳同士のツーショットが再び実現する見込みです。イタリアは2月に開幕するミラノ・コルティナ五輪の開催国でもあります。
政治ジャーナリストの宮崎信行氏は、この日伊関係が単なる友好外交に留まらず、安全保障が強く絡むと指摘しています。日本、英国、イタリアの3カ国で次期戦闘機の開発を進めているほか、2024年11月には物品役務相互提供協定(ACSA協定)も締結しています。宮崎氏は、安全保障面で日伊が同盟関係にあることを確認することが、中国への牽制にも繋がると述べており、外交を通じた日本の安全保障環境強化への高市首相の意欲が伺えます。
結び
高市早苗首相は、早期の衆院解散を見送り、2026年に向けた政策遂行と活発な外交を通じて、政権基盤の安定と日本の国際的地位向上を目指しています。国内では国民民主党との連携を模索し、政策実績を積み重ねることで長期政権への道を固め、国外ではダボス会議や主要国首脳との会談を通じて、日米関係の強化やイタリアとの安全保障協力の深化を図ることで、国際社会における日本の役割と影響力の拡大を図る戦略が見て取れます。これらの動きは、変化の激しい国際情勢において日本の国益を守り、安定した未来を築くための重要な一歩となるでしょう。
参考文献:
- 高市早苗・首相はどんな“野望”を抱き、何をやろうとしているのか (NEWSポストセブン) https://news.yahoo.co.jp/articles/7f0008b93648bb5841c552a5f5301a77d6ea3cf3





