「振り向いたら、アパートの外階段の上にナイフを持った男が立っていて……」──そう振り返るのは、女性を刺したとして逮捕されたいすみ市の会社員で中国籍のリュウ・カ容疑者(39)の自宅の近隣に住む女性だ。【全3回の第1回】
容疑者は、勤務先の会社の事務所内で同僚女性(58)の顔をナイフで突き刺すなどしたとして、千葉県警は12月5日、殺人未遂の疑いで現行犯逮捕した。女性は搬送先の病院で死亡が確認された。
「事件が起きたのは当日の午前9時45分ごろ、始業したばかりの時間でした。女性に襲いかかった容疑者を同僚が確保し、同僚からの110番通報でいすみ署員が駆けつけました。女性が死亡したことから県警は殺人容疑に切り替えて捜査を進めています。リュウ容疑者は『自宅から持ってきたナイフで女性を刺したことに間違いない』と容疑を認めています」(大手紙社会部記者)
事件が起きた会社は国内に複数の拠点を持つ外資系メーカーだった。会社関係者によると、いすみ市の事業所で容疑者は外国籍で初の採用者として有名だったという。
容疑者の自宅アパートは現場となったいすみ市と隣接する茂原市にあった。外部からの目線を遮るためなのか、容疑者の部屋の廊下側の窓はすべてアルミシートのようなもので覆われていた。同じアパートに住む住民男性が話す。
「窓のアルミシート、不気味だよね。彼は2年前くらいにこのアパートに引っ越してきたのかな、確か。1人で住んでいると思うんだけど、引っ越した当初、2階に上がる時の階段の足音がうるさかった、ダンダンってさ。夕方6時くらいなんだけど、嫌がらせなのかなって思うほど音を立ててうるさく上がっていた。うちは階段の横にあるから地震みたいに部屋が揺れるんだよ。普通に上っていたらそんなに音はしないし、部屋まで揺れることはないんだけど。
だから一度うちの部屋を通り過ぎた時に、ドアを開けて『ちょっとうるさいよ』って注意したら、振り向いて無言でこっちに向かって来たんだよ。怖かったな。奥さんが直ぐにドアを閉めて事なきを得たけどね」
男性の妻は容疑者との間で「さらに怖い出来事」を経験したという。妻がこう明かす。
「今年の夏くらいのことです。彼の部屋の前を通ったら、ちょうど配達の人が来ていて。それで少し部屋をのぞいたら、部屋の中にたくさん段ボールがあったんです。
その後、犬の散歩に行こうと思って外階段を降りてふと振り向いたら、容疑者の男が左手に包丁を持って、無表情でじっとこっちを向いて、階段の上で立っていたんですよ。怖くて動けなくなったんですけど、そのまま彼は降りてこないで部屋に戻りました。いまだにこの出来事がずっと怖くて今でも寝られない時があります。部屋によほど見られたくないものでもあったのでしょうか……。いずれにせよ、逮捕されてほっとしました」
勤務先で事件を起こす前にも、近隣住民と”刃物トラブル”があったリュウ容疑者。第2回では匿名を条件に取材に応じた会社同僚が容疑者について話したことを詳報する。
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