読売新聞が今月実施した世論調査で、国民の69%が女性天皇の容認を示したと公表されました。この数字は、女性が天皇となることに対する国民の大半の合意を意味するのでしょうか。主要な情報源がマスコミからSNSへと移行する現代において、新聞が行う世論調査がどれほど広く国民の声を捉えているのか、またその結果を裏付ける、あるいは補完する証拠は存在するのか、深掘りしていきます。女性天皇を巡る議論は、伝統と現代の価値観、そして情報伝達手段の変化が複雑に絡み合いながら進展しています。
世論調査が示す「女性天皇容認」の現状
近年の世論調査では、女性天皇の容認について一貫して高い数値が示されています。読売新聞の調査では69%が女性天皇を容認し、保守層が多いとされる読売の読者を対象とした郵送方式の調査結果としては、非常に注目に値します。また、リベラル層に支持される毎日新聞が5月に実施した世論調査でも70%が容認しており、両紙でほぼ同様の結果が出ています。この結果は、「女性天皇実現の道筋が見えてきた」という見方を強めるものと言えるでしょう。
令和4年の読売新聞の調査では70%の容認率だったため、「後退した」とする意見もありますが、統計学的には「誤差の範囲」とされ、この見方は適切ではありません。こうした結果は、平成28年の小池百合子氏の東京都知事就任、令和3年の芳野友子氏の連合会長就任、そして今秋の高市早苗氏による初の女性総理大臣就任など、女性の社会進出が進む状況と連動していると考えられます。選択的夫婦別姓や物価高対策と並び、女性の社会進出が主要政策テーマとして国会で議論されるなど、単なる「号令」の段階を脱しつつあることが背景にあります。
しかし、宮内庁OBからは、「今の若い世代はほとんど新聞を読みません。読んでいるとしても必ずしも信頼はしていないように見えます」との指摘があり、世論調査が国民世論全体を反映していると考えるのは難しいという意見も存在します。回答者が新聞を重視する層に限定されている可能性も否定できません。
情報源の多様化と“ネット民”の影響
現代において、ニュースを知る主な情報源は新聞やテレビといったマスメディアから、InstagramやX(旧Twitter)などのSNSへと大きくシフトしています。総務省の統計によると、スマートフォンの世帯保有割合は90.5%、個人保有割合も80.5%に達し、インターネット利用機器としてはスマートフォンが74.4%でトップです。特に、ネット用途別ではSNSが81.9%で、検索サービスの79.4%を抑えて最も利用されています。
宮内庁の中堅幹部も、若い職員の情報収集について言及しています。「20代半ばから30代半ばの、いわゆるゆとり世代は新聞を購読しているケースは稀で、SNSやYahoo!ニュースから情報を得ています。さらに20代半ばまでのZ世代はYahoo!すら見ず、SNSで流れてくる情報を信頼しているように感じます」と話し、情報源のジェネレーションギャップが顕著になっていることを示唆しています。女性では40代や50代でもSNSの影響力は絶大であり、社会全体でSNSが世論形成に果たす役割は拡大しています。
女性天皇を巡る議論の行方を示すイメージ写真
このような状況下で、Instagramを通じて“ネット民”に多大な影響を与えているオンライン署名サイト「change.org」に開設された「愛子さまを天皇(令和の皇太子)に!! 私たちは女性の皇位継承を可能にする皇室典範の改正を求めます。」と題する投稿に対する署名数が、12月1日の愛子さまの誕生日を境に急増し、5万人を突破しました。これは、愛子さまの成年皇族としてのラオス訪問が、その後の成長への大きな一歩となっただけでなく、愛子天皇誕生を期待する人々にとっても大きな出来事であったことを示しています。
愛子さま人気とSNSの相乗効果
令和6年4月に開設された宮内庁の公式Instagramでは、愛子さまに関する投稿が圧倒的な人気を博しています。「若きプリンセスの装いが、写真の“映え”が重視されるインスタでは“バズり”やすいこともあるとは思いますが、『親指姫』などプリンセスは、いつの時代も年齢を問わず女子の憧れです」と宮内庁中堅幹部は語ります。グリム童話のプリンセスがディズニー映画で現代版にリニューアルされていることも、愛子さま“推し”に少なからず影響している可能性が指摘されています。
他の皇族方と比較するのは恐縮ですが、愛子さま関連の閲覧需要には驚くべきものがあると言います。ラオスご滞在中、頻繁に更新されたインスタグラムの画像は、「いいね」の数をさらに押し上げました。「実際問題として『愛子さまの写真が見たいからインスタを始めた』という声も寄せられています」という証言は、愛子さまが女性を中心に幅広い世代から支持を集めていることを明確に裏付けています。SNSは、皇室と国民、特に若い世代との新たな繋がりを生み出し、皇位継承に関する議論にも大きな影響を与えているのです。
結論
読売新聞の世論調査が示す69%という高い女性天皇容認率は、現代の日本社会において、皇位継承のあり方に対する国民の意識が大きく変化していることを示唆しています。特に、若い世代を中心に情報源がSNSへと移行する中で、オンライン署名活動や宮内庁の公式Instagramにおける愛子さまへの圧倒的な支持は、デジタル時代における世論形成の新たなダイナミクスを浮き彫りにしています。伝統的な調査とSNSのトレンドが示す結果は、女性の社会進出という大きな潮流の中で、皇室の未来と国民の期待がどのように交錯しているのかを明確に示しており、今後の議論の行方が注目されます。





