新春の風物詩、箱根駅伝。その中でも、勝敗を左右すると言われるのが、往路の最終区間「箱根駅伝5区」です。小田原中継所から箱根の芦ノ湖までの20.8キロ、選手にとって過酷な山登りは、数々のドラマを生み出してきました。なぜ5区はこれほど重要視され、人々の心を捉えるのでしょうか。スポーツジャーナリスト・佐藤俊氏の著書『箱根5区』から、その真髄を探ります。
山に潜む「魔物」の存在
「高校野球の甲子園には『魔物がいる』とよくいわれますが、箱根の山もそうですね。平地区間にはない何かが起こる雰囲気を山には感じます」と、神奈川大学駅伝チームの大後栄治前監督は語ります。5区は、歓喜と感涙に包まれるシーンだけでなく、慈悲のない悲劇も起こり得る区間です。この劇的で残酷なドラマこそ、人々を惹きつける理由です。
箱根駅伝5区、必死の走りでドラマを生む選手たち
高い視聴率が示す5区の魅力
箱根駅伝の視聴率は高いですが、区間ごとの視聴率は公表されていません。しかし、往路では5区が最も高いと予測されます。コアなファンはもちろん、お正月休みに箱根駅伝を見た層も、学生たちの必死な走りに見入ってしまうのです。
往路アンカーとしてのクライマックス
5区は往路のアンカー区間であり、勝敗が決まるクライマックスです。多くの視聴者はその結末を見逃すまいと、最後までテレビに釘付けになります。そのため、箱根の山を走り活躍した選手は、駅伝を知らない人でも「あの山の人だ」と記憶に残ります。
想像を絶する過酷さと感動
「あんなところをよく走って上っていくな」と誰もが思うでしょう。芦ノ湖へと続く国道1号線を走った経験がある人なら、その過酷さをより深く実感するはずです。尋常ではない困難を乗り越える箱根駅伝5区の走者たちは、人間離れした偉業を成し遂げ、深い感動を呼び起こします。
結 論
箱根駅伝5区は、単なるマラソンの一区間ではありません。選手たちの精神力と肉体の限界が試され、見る者に希望と感動を与える「ドラマ」そのものです。箱根の山の「魔物」と、それを乗り越える学生たちの情熱が、新春の日本に忘れられない記憶を刻み続けています。





