2025年1月28日、日本の著名な経済アナリストである森永卓郎氏が、原発不明がんのため67歳でこの世を去りました。森永氏は一昨年、医師から余命4ヶ月を宣告された後も、新聞、テレビ、雑誌など多岐にわたるメディアで精力的に活動を続け、多くの人々に影響を与えました。今年の初めには、「デイリー新潮」に自身の闘病生活に関する手記を寄稿しており、その壮絶な「モリタク流」のがんとの闘い方は改めて注目されています。
経済アナリスト「モリタク」の多岐にわたる功績
森永卓郎氏は1957年に東京で生まれ、東京大学経済学部を卒業後、日本専売公社（現JT）に入社。経済企画庁への出向も経験しました。その後、会社を退職し、経済関係の研究所に勤務した後にフリーの経済アナリストとしてのキャリアを確立しました。彼の魅力は、複雑な経済問題を誰にでも理解しやすい言葉で解説する能力と、その柔和なキャラクターにありました。この親しみやすい人柄から「モリタク」の愛称で広く親しまれました。
しかし、その一方で、政府や与党に対しては歯に衣着せぬ批判を展開し、その独自の視点と発言は多くの支持者を集める要因となりました。彼の専門知識と、それを一般の視聴者にも分かりやすく伝える手腕は、日本のメディア界において独自の地位を築き上げていました。
余命宣告からの壮絶な闘病生活
森永氏をがんの魔の手が襲ったのは2023年のことです。彼は手記の中で、「『来年の桜は見られないかもしれませんよ』――医師から余命4ヵ月の宣告を受けたのは、2023年11月のことだった。私は、にわかには信じられなかった。体調はすこぶるよかったし、腫瘍マーカーの数字も正常値だった」と、当時の衝撃を振り返っています。
原発不明がんと診断された当初、森永氏はPET検査を受け、胃とすい臓に光が確認されましたが、詳細な生体検査ではこれらのがん細胞は見つかりませんでした。しかし、肝動脈周囲の組織検査から転移性の腺がんが検出され、がんを患っていることは明らかとなりました。医師は、徹底的な検査で胃がんの可能性が否定されたことから、すい臓のどこかにがんが隠れていると判断。すでに転移していることからステージ4と診断され、一般的にはあと4ヶ月ほどの命と宣告されました。
昨年10月頃の森永さん
この診断に納得できなかった森永氏は、がん診断の専門医2名からセカンドオピニオン、さらにはサードオピニオンを求めました。しかし、どの医師も最初の診断と全く同じ見解を示し、彼の病状が深刻であることを裏付けました。森永氏は、余命宣告を受けながらも、その限られた時間の中で自身の経験を語り、病と闘いながらも社会に貢献し続ける姿勢を見せました。
森永卓郎氏が遺したもの
森永卓郎氏は、余命宣告後もジャーナリズム活動を続けることで、多くの人々に生きる勇気と希望を与えました。彼の闘病記は、がんという病に直面した人々にとって、計り知れない価値のあるメッセージとなりました。経済アナリストとして培った鋭い洞察力と、人間味あふれる語り口は、彼の死後も長く記憶されることでしょう。彼の逝去は、日本の言論界にとって大きな損失ですが、彼が残した功績とメッセージは、これからも私たちの中に生き続けるはずです。
