新年のお祝いや友人との集まりなど、日本酒を楽しむ機会が増えるこの時期。2024年12月には「伝統的酒造り」がユネスコ無形文化遺産に登録され、日本酒への注目度はますます高まっています。しかし、市場には1万種を超える銘柄があり、「特別純米酒」や「大吟醸酒」といったラベルの表記を目にしても、その違いを正確に理解している方は少ないかもしれません。日本酒の特定名称を理解することで、ご自身の好みに合った一本を選び、さらに会話の話題としても役立つことでしょう。
特定名称で日本酒の個性を読み解く
NPO法人日本酒サービス研究会の理事であり、酒のスペシャリストである友田晶子氏の著書『ビジネスエリートが知っている教養としての日本酒』によると、日本酒選びの最も重要な手がかりはラベルに記載された「特定名称」です。かつては「特級酒」「一級酒」といった級別制度がありましたが、1992年に廃止され、その代わりとして現在の特定名称制度が導入されました。特定名称がつけられた日本酒は高級酒として位置づけられる傾向があります。
日本酒のラベルに表示される「特定名称」
特定名称は、使用される原材料や精米歩合(米を磨く割合)によって、大きく3つのグループ、8種類のタイプに分類されます。これらの分類を理解することで、日本酒の風味や香りの特徴が把握できるようになります。
「本醸造グループ」:すっきり軽快な味わいの秘密
本醸造グループに属する日本酒は、米、米麹に加えて醸造アルコールが使用されているのが特徴です。このグループには以下の種類が含まれます。
- 本醸造酒
- 特別本醸造酒
- 吟醸酒
- 大吟醸酒
一般的に、本醸造グループの日本酒は、すっきりとして軽快、そしてドライな味わいが特徴で、飲み飽きしないのが魅力です。特に「特別本醸造酒」の中には、華やかな香りが楽しめるものもあります。「吟醸酒」や「大吟醸酒」は、雑味となる米の表面を丁寧に磨き上げることで、より繊細な味わいを実現しています。さらに、吟醸酵母を使用することで、フルーティーで華やかな香りが際立ち、洗練された一本となっています。
「純米グループ」:米本来の旨味を追求した逸品
純米グループの日本酒は、米と米麹のみで造られており、醸造アルコールは一切使用されません。これにより、米本来の豊かな旨味が存分に引き出されています。このグループには以下の種類があります。
- 純米酒
- 特別純米酒
- 純米吟醸酒
- 純米大吟醸酒
純米グループの日本酒は、米の旨味とコクが特徴的で、ふくよかな味わいが楽しめます。こちらも「特別純米酒」の中には華やかな香りがするものもあります。「純米吟醸酒」や「純米大吟醸酒」は、米の表面を高度に磨き上げ、吟醸酵母を用いることで、フルーティーで華やかな香りを持ちながらも、米の持つ深い旨味もしっかりと感じられる、バランスの取れた逸品です。
これらの特定名称を知ることで、日本酒選びは格段に楽しく、そして奥深いものになります。ぜひ、ラベルの情報をヒントに、ご自身のお気に入りの日本酒を見つけてみてください。
参考文献:
友田晶子. 『ビジネスエリートが知っている教養としての日本酒』.





