総務事務次官を辞任した鈴木茂樹氏は、同省管轄の研究機関、情報通信研究機構(NICT)の理事を務めるなど、デジタル技術に精通した異色の官僚だった。人工知能(AI)の研究開発や第5世代(5G)移動通信システムの普及といった政策推進の先頭に立っていただけに、総務省内では落胆の声も上がった。
東大農学部を卒業後、1981年に旧郵政省へ。携帯電話の料金を下げるため仮想移動体通信事業者(MVNO)を育成する政策を展開した。「政策の立案と実行力がある」(総務省中堅)との評価が高かった。
ただ省内では「結婚式の日の朝まで仕事をしていたことをいまだに自慢していた。想定外のことが起きて怒鳴ることもあった」との声も漏れる。
情報の漏えい先だった日本郵政の鈴木康雄上級副社長も旧郵政省出身。「上意下達の体育会系を良しとするところもあった。旧郵政省の先輩の意向には逆らえなかったのではないか」と見る向きもある。