【主張】北労働者送還 中露は責任ある対応取れ

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 国連安全保障理事会が決議した北朝鮮労働者の本国送還が22日に期限を迎えたが、最大の受け入れ先である中国とロシアの不履行が際立つ。

 許し難い事態である。特に中国では、北朝鮮と国境を接する丹東や図們(ともん)の工場に、北朝鮮女性が集団で出勤する姿が目撃されている。東北部の大都市、瀋陽の北朝鮮レストランもにぎわいをみせている。

 北朝鮮の核・弾道ミサイル開発は平和への重大な脅威だ。その資金源となる外貨を断つことが安保理制裁の主要な目的である。石炭や海産物の輸出を禁じるだけでなく、北朝鮮による出稼ぎ労働も制裁対象としたのはこのためだ。

 出稼ぎ労働者は2017年末の時点で、中露を中心に約10万人おり、年間5億ドル(約547億円)超を稼いだと推計されている。

 貴重な外貨は何をおいても、金正恩独裁体制の延命存続、軍備強化に使われる。中露による北朝鮮労働者の放置は、あからさまな体制擁護にほかならない。

 決議は2年前に全会一致で採択された。もちろん、中露も賛成している。履行義務は国連の全加盟国にあり、常任理事国の中露には率先して守るべき責務がある。両政府が「決議を履行した」と表明しているのも極めて無責任だ。

 悪質なのは中国の北朝鮮労働者が2年間で逆に増えたことだ。公用旅券で入国しているとの見方もある。抜け穴を作っているのなら言語道断である。

 不可解なのは、中露が労働者送還の撤回を含む制裁緩和の安保理決議案を作り、期限1週間前のタイミングで配布したことだ。北朝鮮は挑発を強めており制裁緩和を論じる環境にはない。協議が必要なのは不履行の現状であり、中露は速やかに送還すべきである。

 中国は6月、習近平国家主席が初めて訪朝するなど北朝鮮への関与を強めている。影響力は非核化のため行使されねばならない。

 安倍晋三首相は、日中韓サミット出席のため25日まで3日間、中国を訪問中である。決議の厳格履行はもちろん、具体的に送還を強く迫るのが日本の役割である。

 北朝鮮は一方的に、米朝の非核化交渉の期限を「年内」として米国に譲歩を迫っている。朝鮮労働党は「重大な問題」を決定するとも予告している。日本は米国と緊密に連絡を取り、不測の事態にも備えなければならない。

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