秋元議員逮捕 与党に危機感、野党は「桜」に続き攻勢? 





秋元司衆院議員

 政府が進めるカジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業をめぐり、衆院議員の秋元司容疑者が収賄容疑で東京地検特捜部に逮捕されたことを受け、与党からは今後のIR整備や国会運営への影響を懸念する声が上がった。一方、安倍晋三首相主催の「桜を見る会」の疑惑追及で勢いづく野党は、カジノを禁止する法案を年明けの通常国会に提出し、政局の主導権を握る構えだ。

 「司法が一定の判断を下し、逮捕という事実があったことは非常に重たい」

 自民党の森山裕国対委員長は25日、国会内で記者団にこう述べた。また、公明党の斉藤鉄夫幹事長は記者団に「逮捕は誠に遺憾だ。被疑内容が事実であれば、あってはならない由々しきことだ」と語った。

 自民は政府と歩調を合わせ、IRを地域活性化の有効策と位置付けてきた。秋元容疑者は二階俊博幹事長率いる二階派(志帥会)に所属し、二階氏自身、地元・和歌山へのIR誘致に前向きな姿勢を示してきたが、逮捕により足踏みは避けられそうもない。自民幹部は「国が(IRを)これから始めようというときなので影響はあるだろう」と表情を曇らせた。

 桜を見る会に続く新たな疑惑の表面化は政局にも影響しそうだ。自民ベテランは「内閣支持率が悪くなったところに追い打ちだ。年明けの国会運営は厳しくなる」と漏らす。党内では早ければ年明けの衆院解散・総選挙もささやかれていたが、事件により遠のいたとの見方が強まっている。

 対照的に意気が上がるのは野党だ。立憲民主党の安住淳国対委員長は25日、IRを扱う内閣委員会の閉会中審査の開催を与党側に要求。記者団には「カジノは不正や腐敗の温床になると野党は再三言ってきた」と述べ、カジノ禁止法案を共同提出する考えも示した。 また、共産党の小池晃書記局長は記者団を前に秋元氏の議員辞職を要求し、「内閣府副大臣などに任命した政府・自民党の責任が鋭く問われる問題だ」と語気を強めた。

 とはいえ、IR導入は旧民主党政権下でも検討され、今の野党にも超党派でIRを推進する国際観光産業振興議員連盟(IR議連)に所属する議員がいることから、追及の足並みがそろうかは疑問だ。

 IR議連に参加する国民民主党の玉木雄一郎代表は25日の記者会見で、カジノ禁止法案について「色々な自治体が期待し、計画を進めているところもある。(既に成立したIR関連法の)法的安定性を考えれば慎重に考えるべきかもしれない」と発言した。一方で「法が成立した経緯の検証は必要だ」とも述べ、定まらぬ心中を吐露した。

(内藤慎二、田村龍彦)



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