カジノを含む統合型リゾート施設(IR)をめぐる不正疑惑は25日、約10年ぶりとなる現職国会議員の逮捕に発展した。東京地検特捜部に収賄容疑で逮捕された元IR担当副大臣、秋元司容疑者(48)は、過去にもさまざまな疑惑が浮上した人物で、脇の甘さを指摘する関係者も少なくない。政治家と海外資本をつなぐ「ブローカー」の存在も注目され、誘致を目指す自治体には戸惑いが広がった。
この日、秋元容疑者の都内の自宅や地元事務所は早朝から多くの報道陣が集まり、騒然となった。特捜部による捜査の手が迫る中、秋元容疑者は午前10時すぎ、自身のツイッターで「このような事態となりお騒がせしていることを、お詫び申し上げます」と投稿した。
知人にも25日未明、「金(賄賂)も口利きもしていません。検察と戦います」などとするメールを寄せ、身の潔白を主張していた。
東京都出身で、大学在学中から小林興起元衆院議員の学生秘書として活動し、卒業後は公設秘書になった。平成16年7月の参院選に比例代表で出馬し、自民党2位の得票数で初当選。22年の参院選で落選したが、くら替えして24年の衆院選で比例復活当選し、現在3期目だ。
秋元容疑者について、元秘書の男性は「当選すると鼻高々になる政治家が多いが、彼は謙虚。当選しても街頭演説はやるし、小さい会合にも出る。義理人情に厚く、受けた恩は何年たっても忘れない」と話す。その人情家ぶりは、支援者との近さにも表れていたようだ。
今年7月には、企業主導型保育事業をめぐる助成金詐欺事件で起訴された福岡市の保育コンサルタント会社代表の男性被告が、秋元容疑者との親密さを取引先企業などにアピール。政治資金パーティー券を複数企業に購入させていたことなどから、男性被告との関係に疑惑の目が向けられた。