警察官は犯罪から人々を守るために存在する-。そんな信頼を根底から覆す事件が京都で起きた。法廷で「犯してはならない罪を犯してしまった」と話したのは、特殊詐欺対策を通じて知り合った高齢者から1千万円を超える現金をだまし取った京都府警の元巡査長の男(38)。法廷では身勝手な犯罪の一部始終が明らかになった。(南里咲)
借金返済のため投資に
「この罪を一生背負いながら、いかなる罰も受けようと思う」
法廷に姿を見せた男は目を閉じ、うつむきながら、いたたまれない様子で反省の言葉を述べた。それもそのはず、人々の生活を守る役割を持つ警察官とは思えない、あまりにも悪質な事件を男は起こしていた。
父親と同じ警察官という道を選んだ男は、平成30年11月の犯行当時、伏見署管内の交番に勤務していた。共働きの妻との間には小学生の長男、長女がおり、さらには3人目の誕生を待つばかり。どこにでもありそうな、普通の家庭だった。
ただ違ったのは、男が外国為替証拠金取引(FX)などの投資にはまっていったこと。仕事のストレスなどから買い物を続けたことで借金が重なり、返済のために27年から投資を始めたが、うまくいかずに借金はさらに増加。男と妻の年収は合わせて約1千万円だったが、事件当時、夫婦の預金残高は約30万円にまで減少していた。結果的に男が投資で失ったのは2千万円近くに上ったという。