韓国の憲法裁判所は27日、慰安婦問題をめぐる2015年の日韓政府間合意は憲法違反だと認めるよう求めた訴訟で、判断を言い渡す法廷を開く。判断は元徴用工訴訟判決を巡り悪化している両国関係に影響しそうだ。違憲判断なら合意履行を韓国政府に求めてきた日本政府の反発は必至だ。合意は韓国の朴槿恵前政権と安倍晋三政権の間で結ばれ、日本政府が10億円を拠出するなどし、問題の「最終的かつ不可逆的な解決」をうたった。だが、文在寅現政権は、この合意では慰安婦問題は解決しないとして、既に事実上白紙化する措置を取っている。
元慰安婦や遺族は16年3月、合意によって日本側に賠償を求める道が閉ざされ「財産権や人間としての尊厳、国から外交的な保護を受ける権利を侵害された」として憲法裁に訴えた。合意過程で当事者の元慰安婦らが排除され、合意後も内容が十分に説明されず「知る権利が侵害された」とも主張した。16年7月には合意に基づき韓国で元慰安婦の支援事業を担う財団が発足。日本政府の10億円を基に元慰安婦らに現金が支給された。韓国政府によると、合意時点で存命だった元慰安婦47人のうち、35人に現金が渡されたが、日本政府の法的責任認定などを求める元慰安婦は拒否した。(共同)