【北京=西見由章】中国人民銀行(中央銀行)は1日、金融機関から預金の一定割合を強制的にあずかる預金準備率を6日から0・5%引き下げると発表した。市場に8千億元(約12兆4800億円)余りの資金を供給する効果があるとしている。人民銀による準備率引き下げは昨年9月以来、4カ月ぶり。
米中貿易戦争の長期化などで中国経済の減速が鮮明となる中、事実上の金融緩和措置となる準備率引き下げで零細企業などへの貸し出しを促し、実体経済を下支えする狙いがある。
人民銀は「穏健な金融政策という方向性に変更はない」との声明を発表した。
中国の昨年7~9月期の国内総生産(GDP)は、物価変動の影響を除く実質で前年同期比6・0%増となり、四半期ベースでは記録のある1992年以降で最低を更新した。
トランプ米大統領は米中貿易協議の「第1段階」合意について15日にホワイトハウスで署名すると発表したが、中国経済の構造改革が焦点となる「第2段階」交渉は難航が予想されている。