スポーツサングラス 選手支える頼もしい“目”

By | January 2, 2020






 「SWANS(スワンズ)」ブランドで知られるスポーツサングラスのトップメーカー、山本光学(大阪府東大阪市)は、東京五輪の代表選手向けの商品開発を加速している。走ってもずれにくいマラソン用、グリーンの中でもくっきりと球筋が見えるゴルフ用…。ミリ単位のこだわりで生み出す製品は、アスリートのもうひとつの“目”だ。

 漆黒のレンズの下部からのびる2本のフレーム。異色のデザインが際立つランニングサングラス「イーノックス ニューロン20」は、女子マラソンの前田穂南選手らとの共同開発品だ。

 キャップをかぶってもフレームにあたらずこめかみを締め付けない、そして2時間以上のランニング中もずれない製品を-。前田選手のそんな要望から開発が始まった。

 前田選手や実業団選手ら約50人の頭部を3Dスキャナーなどで計測し、平均値をもとにマネキンを製作。試作品をつけてフィット具合を確かめた。さらに、選手への試着と意見の聞き取りで調整を重ねた。

 通常レンズ側面につけるフレームを下部に取り付けたのは、こめかみを締めず、キャップと当たらないようにするためだ。深い黒色のレンズは日差しから目を守るだけでなく、他の選手との駆け引きで視線を悟られず、目に表れる疲れを読まれにくくする。約2年かけて20回の試作を繰り返し、完成にこぎ着けた。

 「選手の要望からミリ単位の調整をしたり、時には大きくデザインを変更したりする。言葉の微妙なニュアンスをくみ取ることが最も難しいが、最も重要な工程」と山本直之社長は話す。この製品をかけて昨年9月、東京都内で開催されたマラソングランドチャンピオンシップに出場した前田選手は優勝し、五輪代表を勝ち取った。前田選手は「軽くて負担がなく、走行時にずれることもないため集中力を高めてくれる」と話す。

 同社は戦前、産業用の防塵メガネを手掛け、昭和50年代から産業用製品で培ったノウハウを生かし、当時は輸入品の独壇場だったスイミング用やスキー用のゴーグルに進出。曇り止め技術の高さなどから世界に販路を拡大した。

 トップアスリートへの提供を始めたのは、1992年のバルセロナ五輪。現地のマラソンコースは西日が強く、日本陸上競技連盟からサングラスの製作を依頼された。レンズをミラー加工し遮光性を高めた製品を着けた有森裕子選手は、銀メダルに輝く。その後も、2004年アテネ五輪金メダリストの野口みずき選手らに製品を提供してきた。

 東京五輪代表を目指すプロゴルファーの石川遼選手と開発したサングラスは、強いスイングでもずれない密着性のほか、青空やグリーンの中でもボールがくっきりと映えるよう、レンズ素材の樹脂を極秘の比率で配合。レンズは天候に合わせて交換できる。

 一流選手の要求に応えてきたのは、徹底した現場主義だ。デザイナーや技術者もレース会場に出向き、選手の使い心地を確認。スキーゴーグルの開発では極寒の雪山で性能を試す。山本社長は「要求のハードルが高いほど、どうすれば製品の性能を向上させられるかを気付かせてくれる。世界の舞台で使ってもらえるのは誇らしい」と話す。



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