「お父さん、キアヌ・リーブスなの」…。第1話で、いまわの際の母から想定外のことを告げられた、「週刊イースト」特集班で働くスクープ記者、真壁ケイトを演じる。
「キアヌ・リーブスの娘っていわれたら、とりあえず鏡を見るけど」
屈託なく笑う。普段は取材される側だが、「(記者の前では)言葉を間違えたらだめ、というイメージ」という。「このドラマは、言葉をデリケートに扱っているし、分からない言葉を分からないまま、使わないようにしたい」とすでに記者としての心構えは出来上がっている。
記者らしさを補うため、監督やプロデューサーが取材してきた内容を教わったことが参考になったという。それにより「目につくものが変わってきたし、興味がわくから知りたいことも増えた」。以前はドラマやバラエティー番組を見ることが多かったが、「ニュースを見る時間が増え、ネットニュースサイトの“おすすめのニュース”にも時事ネタが多く出てくるようになってきた」と明かす。
これまで「東京タラレバ娘」(平成29年1月期)、「正義のセ」(30年4月期)と、“水10”枠で主演してきたが、「現場の雰囲気も今までの“水10”とは違う感じ」という。さらに、これまでと違う役どころに「新しい一面になっているかどうかは、見る人の判断だけど、プロデューサーも監督もスタッフも初めての人が多くて、ゼロから新しい景色が見える楽しみのほうが大きい」と語る。
初めてが多いのは共演陣もだが、クランクイン前の台本の読み合わせの段階で、大石静の脚本が「各キャストにアテ書きしたと思えるくらいピッタリ。オフィスの空間が見えるような感じがして、すごく楽しみになった。声だけでも面白い化学反応が起きていた」と喜ぶ。大石の脚本は、「目の前で起きていることとナレーションとのコントラストが大きい」という印象を抱いた。
ドラマ開始前には怖い夢を見るのが吉兆だという。今回も引っ越した広い家に霊がいる夢を見て、「怖すぎた。汗をびっしょりかいた」と笑いながら語る。
「ケイトが真実にたどり着くのかどうかも分からないけれど、その先に何があるのか。すべてを受け入れられるのか、支えてくれる人がいるのか…」と、先が楽しみで仕方ない様子。見る側もそれは全く同じである。(文化部 兼松康)
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【プロフィル】 吉高由里子(よしたか・ゆりこ) 昭和63年生まれ、東京都出身。平成18年にデビュー後、20年の映画「蛇にピアス」で主演し、第32回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した。ドラマでは、26年のNHK連続テレビ小説「花子とアン」、昨年のTBS系「わたし、定時で帰ります。」に主演。舞台でも「レディエント・バーミン Radiant Vermin」(28年)に出演するなど、幅広く活躍している。