【阪神大震災25年】被災地アンケート 「防災意識は低下」と約半数が回答





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 阪神大震災から25年となる兵庫県の被災地で、産経新聞社は、被災者らの防災意識を調べるアンケートを実施した。震災から3年9カ月後に行ったアンケートと同じ質問で当時と比較したところ、具体的な家庭の備えを進めている割合が高くなったことが分かった。一方、約半数が「防災意識の低下を感じる」とも回答し、警鐘を鳴らし続ける必要性が改めて浮かび上がった。

 調査は昨年12月、大阪市立大学と兵庫県立舞子高校環境防災科の協力を得て、神戸市中央区や垂水区などの被災地で実施。未成年者から高齢者までの男女計177人から回答を得た。被災経験のある人は126人だった。

 家庭の備えについては、「家具の固定」や「家族の集合場所」の有無、「指定避難場所の認知度」など震災から3年9カ月後に実施した6項目を質問。おおむね当時のポイントを上回り、特に「飲料水・食料の用意」は25・7ポイント増の76・9%、「地震保険加入」が30・3ポイント増の55・6%と改善が目立った。

 ただ、震災を経験していない人を含む35歳未満で備えをしている割合が低く、集計した大阪市立大の宮野道雄特任教授(地域防災)は「世代により防災の意識レベルは異なるが、特に若い世代の意識向上は喫緊の課題だ」と話す。

 一方、防災意識については、約半数が「震災25年が過ぎて薄れを感じる」と回答。具体的には「地域住民の連帯の大切さ」や「自分や家庭を自力で守る心構え」を挙げる人が目立った。

 震災3年9カ月後の調査ではこれらの意識は高まっていたが、今回特に被災経験のある人の方に、防災意識の低下を自覚している割合が高かった。宮野氏は「阪神を機に叫ばれた自分で自分を守る『自助』の意識が薄れているのではないか。今一度、地域で想定される災害の備えを再考してほしい」と訴える。

 一方、マップで自身の危険度を把握していない理由の中で、「見たことはあるが、詳しい災害リスクまで確認しなかった」が最多で4割超、「マップの存在を知らない」「どこで見ればいいかわからない」が2割弱で次に多かった。

 また、神戸で今後予想される災害(複数回答)として、「地震」が7割で最多。「台風」(5割弱)、「集中豪雨」(4割強)と続いた。災害報道で期待することへの質問では、新聞とインターネットの両媒体ともに「情報の速さ」が最多で、「わかりやすさ」が次点だった。

 宮野氏は「神戸が想定すべき災害は斜面崩壊や津波もある。過去の震災に引っ張られて他の対策がおろそかになってはいけない」と指摘。「ハザードマップを用いた防災訓練などを行い、危険度の理解につなげる仕組みづくりが必要だ」と訴えた。



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