本格的な厳しい寒さがやってきたこの時期になると、思い出すことがあります。高校から大学まで続けた巫女(みこ)のアルバイトの体験です。白衣に鮮やかな朱色の緋袴(ひばかま)を身にまとういでたちに憧れ、生まれ育った東京・浅草のある神社でやっていたんです。
憧れて始めたのですが、そこには寒さに耐える現実が待っていました。巫女装束は生地が薄く風を通しやすいため、朝から晩まで長時間にわたり屋外で、参拝者の方にお守りを渡していると、体が芯から冷えてしまいます。そのため装束の内側に携帯カイロを10枚ほど貼ってしのぎました。
参拝者の中には、ねぎらいの言葉や温かい飲み物の差し入れをくださる方もいて、心がとても温まりました。人の優しさが一番の「カイロ」でした。
信州で過ごす初めての冬で、この地の寒さには慣れていません。でも、自然や気候が作り出す雪国ならではの風景に触れ、この時期にしかない信州の美しさや魅力を存分に感じたいです。